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    aya_Heroine

    @aya_Heroine

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    aya_Heroine

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    エー監♀ エーユウ♀ ❤️🌸
    ・年齢操作有、デフォ名使用。
    ・エース(27歳)とユウ(16歳)の邂逅


    .















    「…眩しい…」

    カーテンの隙間から零れる朝の光によって、ユウは目を覚ました。
    まだ覚醒前のぼんやりとした頭で、日課であるスケジュールを頭の中に浮かべる。

    (今日は…確か小テストがあったはず…あとは、あ、学園長に呼ばれてたな…)

    一通り思い浮かべ終えて、すぐ側で寝ているはずの相棒を起こそうと腕を伸ばした。が、想像していた柔らかいフサフサした毛を掴むことなく、何やら硬い筋肉質なものにぶち当たってしまった。

    (ん?グリムって、こんな硬かったっけ?)

    我が相棒はいつの間にこんなに筋肉質になってしまったのだろうか。不思議に思いながらもまだ眠たいと訴える瞼をゆっくりと開いていく。
    そうして、そこに見えた光景にユウは悲鳴を上げそうになったのを瞬時に堪えきった。

    「はっ…!?」

    眠気が一瞬でどこかに吹き飛んでいった。思い切りよく後ずさってしまい派手に背中からベッドの下に落ちた。ズドンと鈍い音を立て落ちたせいか、男が怪訝そうに眉を寄せて眠りから覚醒した。

    「んん…?なんだよ、ユウ。どしたの」

    全くの見ず知らずの男の人が、自分のベッドで寝ている。
    その事実に、衝撃と戸惑いで頭が混乱状態に陥る。

    「ユウ?」

    おまけに、何故かこの男は自分の名前を知っている。それがなんだか急に怖くなって、隠れようと周りを見渡したところでようやく気づいた。

    「…オンボロ寮じゃ、ない…?」

    白を基調とした綺麗に塗装されている部屋、ベッドの他にはサイドチェストが置かれているのみ。シンプルな部屋でいて、カーテンや壁に掛けられている小物の色合いはすっきりとまとめられていた。
    どこもかしこもボロボロで常にすきま風が吹くようなオンボロ寮とは、大違いだ。

    「ここ、どこ…」
    「ユウ…?」

    声のした方に視線を戻すと、男が目を凝らしてこちらをじっと見据えていた。
    思わず目がしっかりと絡み合ってしまい、咄嗟に佇まいを正した。

    「あの、」
    「ん?ユウ…?………あ、あ〜…お前あの頃のユウか…そっか…なるほど…今日だったの忘れてた」

    一人納得したように頷いている男を前に、ユウは遠慮なく訝しげな視線を投げた。
    どうしてこの男は自分の名前を知っているのか。
    そして、彼はどうやらユウがどういう状況にあるかを一人理解している。
    このままこうしていても埒が明かない。そう思いごくりと唾を飲み込んで、目の前の人物に恐る恐る問い掛けた。

    「あの…ここはどこで、その…貴方は、誰なんでしょうか…?」

    ユウの恐る恐ると投げかけた質問に、男は長い睫毛を震わせながら数回瞬きを繰り返して「あー」と呟いた。
    不謹慎にも寝起きのせいでぴょこっと跳ねている髪が、なんだか可愛らしいと思ってしまった。

    「…ここ、お前からしたら未来の世界なの。…そしてオレは、エース・トラッポラ」
    「………………え?」

    未来。その二文字がユウの頭の中で反芻される。
    だがいくら考えたってしっくり来ない。未来、とはどういうことなのだろうか。

    「おーい、ユウ〜?固まった?まぁ無理もないよな」

    いつの間にかエースと名乗った男が、ヒラヒラとユウの前で手を降ってみせていた。
    眼前にありありと広がる裸体に当然見慣れないユウは、「ひゃああ!」と悲鳴を上げながら顔を逸らした。

    「あ、わりぃ。つい」
    「ふ、服!着て!…ください!!」

    エースと名乗られたものの、彼が自分の知るエースとは限らない。
    それに、ここが本当に未来だというのなら何故自分はエースのベッドで寝ていたのか。
    しかも彼は半裸で。自分とエースがどういう関係性なのか怖くて聞けなかった。

    「ごめんな、ユウ。とりあえず上も着たから」
    「…」

    ゆっくりと視線を戻せば、言った通り彼は赤いTシャツを着ていた。とりあえずこれで彼の方は普通に見られる。
    だが、問題が解決したわけではない。まずは目の前の彼が本物なのか確かめたかった。

    「あの…本当に、貴方は自分の知っているエース…なんでしょうか…?」
    「んー…まぁ、ユウからしたらいきなり現れた知らない男がエースって名乗っても信じられないよな」
    「…はい。それに、未来って言うのもイマイチピンと来なくて…」

    ユウの言葉に一理あると考えたのか彼は思案したのち、思い付いたようにベッドの枕元で何かを探り始めた。

    「あった。ほら、ユウ」

    ユウに見えるように差し出されたのはどうやら彼のスマートフォン。画面には、今日の日付が記されている。
    だけどその日付は、ユウがいた世界から確かに未来の日付だった。しかも、十一年後というなんとも中途半端な数字。

    「本、当に…?」
    「日付に関しては信じてもらえた?んじゃ、次はオレがエースってことを信用してもらう手立てだけど」

    まだ混乱しているユウに対してニッと歯を見せて笑った彼は、大人びているものの自分の知っている彼と瓜二つだった。どこから出したのか分からないトランプが彼の手中にあり、それを器用に操っていく。
    成人している男の人の割には細長くて綺麗な指がトランプを自分の手のように操る。その様は、確かにエースのそれと同じだった。

    (…本当に、この人がエースだとしたら…)

    そっとトランプから彼に視線を移したのに、バッチリと目が合ってしまった。チェリーレッドの瞳が、ユウを見て柔らかくなる。
    その瞳の甘さに、胸がドクンと高鳴った。
    こんなエースを、自分は知らない。
    だが十一年後の世界ということは、エースもとっくに成人していて大人の仲間入りを果たしているのだ。
    こんなふうに誰かに柔らかく笑うのかと思うと、何故か胸がちくりと痛みを伴ったような気がした。

    「じゃあ、好きなカード選んで」
    「…これ」

    エースによって誘導されていき、彼の得意だとするマジックを披露してもらう。相変わらずタネも仕掛けも分からない彼の巧みなマジックに最初から翻弄されている気がした。
    首を捻って唸るユウに「信じる気になった?」と頭上から楽しげな声がした。

    「…とりあえず、は」
    「とりあえず、ね。ま、ユウらしくていいんじゃない?」

    わしゃわしゃと頭を掻き回され、エースが伸びをしながら部屋を出ていこうとする。

    「腹減ったっしょ?朝飯作ってやるから待ってな」

    去り際にそう言い残して、彼がキッチンへと足を踏み入れるのを見送った。
    一人になり、深呼吸をしてもう一度改めて部屋を見渡す。

    (…ここが、将来エースが住んでる部屋)

    今ユウが知っているエースは寮住まいだ。
    将来こんなにオシャレな部屋に住んでいるなんて、とてもじゃないが今の彼からは想像もできない。
    余りじろじろ見ても不躾かと思い、自分もリビングに移動しようと立ち上がった。

    「あ…」

    視界に入った、壁に絵画と一緒に飾られている数枚の写真たち。
    ユウが今親交を深めているメンバーたちとの写真や、ハーツラビュル寮の先輩方と撮ったであろう写真。
    それに加えて。

    「…結婚、してるんだ」

    知らない綺麗な女の人が、エースの隣で真っ白なウェディングドレスを着て笑っていた。
    結婚式で撮られたであろう写真が何枚も飾られていた。二人で左手を主張して撮られたものや、皆で集合した写真。

    「…そっか」

    十一年後の彼は、知らない女の人と結婚していて、幸せに暮らしている。
    自分が写っていない辺り、無事に元の世界に帰れたのだろうか。若しくは、彼との親交は途絶えてしまったのか。珍しく気分が落ち込んでしまい、らしくもない考えにふけってしまう。

    (…エースが誰と結婚しようが、関係ないのに)

    それなのに、胸が苦しい。どうして悲しいと思ってしまうんだろう。
    自分とエースはただの友達で、自分はいついなくなるか分からない存在で。
    だから自分がエースを好きになるなんてこと、あってはならないのだ。絶対に。傷つく必要も、権利もない。

    「ユウー?朝飯できたぞー」
    「は、はーい」

    エースの呼び声にハッとし背筋をしゃんと正して、気持ちを切り替えようと首を振った。
    とにかく、今はどうやって元の時間軸に帰れるのかが問題だ。
    痛む胸を押し殺すように、ユウはリビングへと足を運んだ。


    「わぁ…すごい」
    「どうよ!お前、パンケーキ好きだろ?」
    「うん…!好き!」

    ユウの前に差し出されたプレートにはお店のように綺麗で分厚く焼かれたパンケーキが二枚。その上には生クリームや少量のフルーツ、ご丁寧に蜂蜜までかかっており忘れていた空腹を示すようにお腹が鳴った。

    「どうぞ。召し上がれ」
    「いただきます!」

    手を合わせて、フォークで抑えながらナイフで切り込みを入れる。
    そこからじんわりとバターが染み出てくる。ユウがバターをふんだんに使ったパンケーキが好きなのは、一部の人達しか知らないはず。
    この人は、確かに自分の知るエースなのだと確信せざるを得なかった。

    「美味しい…」

    口に入れた途端広がる芳醇な甘さとフルーツの食感。朝からこんなに贅沢なものを食べられるなんて、まるで夢みたいだ。実際、これも夢なら良かったのに。

    「…本当、美味しそうに食べるよな」
    「あ、す、すいません…がっついちゃって」
    「いいよ。気にしなくて。あと敬語もなしな。なんかむず痒くてしゃーねぇし」
    「は、はい…じゃなくて、うん…」
    「よし」

    満足気に笑った彼に、また胸がきゅっとなった。
    先程の寝室で見た結婚式の写真。エースの左手を見れば、そこにはしっかりと淡く輝く銀の指輪が嵌っていた。

    「あの、エース」
    「んー?」

    一旦ナイフとフォークを置いて、エースを真正面から見据える。
    改まったユウの姿勢に彼も何事かを感じ取ってくれたのか、ユウと同じように食べる手を一度止めてくれた。

    「エース、はその…結婚…してるんだよね?」
    「……うん」

    ユウの質問に数秒黙り込んだ後に、彼は神妙に頷いた。分かっていたことなのに、彼の口から改めて聞かされると鼻の奥がツンとした。

    「今更だけど、自分がここにいて大丈夫…?奥さんに怒られたりしない…?」

    もしも自分がここにいることによってエースの結婚生活が脅かされるのなら、即刻出ていくつもりだった。行く宛てはないが、多分どうにかなるはずだと思う。自分のことより、エースのことの方が心配だった。
    しかしユウが身構えていたのに対して、彼はいともあっけらかんと笑ってみせた。

    「それは大丈夫。心配すんなって」
    「本当に?自分のせいでエースが離婚なんてやだからね?」
    「…あー。まぁ、ユウはある意味関係してるかもなぁ」
    「!!じゃあ、やっぱり…!」
    「ちょちょちょ!勘違いすんなよ!!お前はここにいていいから!寧ろいろって!オレの視界からいなくなるな!」
    「………分かった」

    納得はいかないがエースがここにいろと言うのなら、いた方がいいのだろう。立ち上がりかけた腰を渋々下ろした。
    本音を言えば自分としても余り知らない世界をうろつきたくはない。
    だけど、どうやって元の時間軸に帰ればいいのだろう。

    「心配しなくても戻れるから」
    「え…」
    「元の時間軸に帰れるかって心配してんだろ?大丈夫。ユウはちゃんと帰れるよ」

    向かい側から伸びてきた腕が先程とは違って優しく頭を撫でてくる。
    その温もりは、不安で燻っていたユウの心を安心させてくれるには充分だった。


    エースの作ったパンケーキを平らげたあとキッチンに皿を運んだ。流しに入れると自動的に皿がひとりでに洗うのを始めてしまい、改めて魔法の力に目を見張った。

    「ユウ、こっちおいで」

    声のした方に首を振り向けば、柔らかそうなソファーの上で彼がユウを呼んでいた。
    おいでと言ったふうに手招きされ、着恥ずかしさもありながら素直に彼の方へと向かう。

    「こっち」

    エースの隣を叩かれ、おずおずと腰を下ろした。

    「なに。借りてきた猫みたいじゃん、お前」
    「だ、だって…」

    自分の知っているエースなのに、そうじゃない。
    十一年後の彼はこんなにも男の人になっていて、自分の知らない誰かのものになっているのだ。

    「…エースさ、香水付けてるの…?」

    ずっと彼からいい匂いがするなと思っていた。甘い匂いなのに、嫌な香りではない。彼の匂いと調和性が良いのか嗅いでいてとてもいい気分になる。

    「ん?ああ…初めてもらってからずっと同じの付けてんの」
    「…奥さんからもらったの?」
    「そ」

    ユウからの質問に一瞬目を丸くしたものの、直ぐにエースは笑って頷いた。
    その笑みが心から嬉しそうに感じられて、彼に愛されている人は幸せ者なんだな、なんて他人事のように思った。
    それからいくつか他愛もない話をとりとめなく交わした。

    「ユウにとってはここが未来だからさ、余り下手に色々教えられないんだわ」
    「…それで未来が変わったら困るもんね」

    何気なく発した言葉だったのに、エースは急に神妙な顔つきになってしまった。

    (な、なに。なんか変なこと言った…?)

    戸惑うユウに、彼は眉間に皺を寄せながら「めっちゃ困る」と呟いた。

    「オレが困る」

    どうして彼がそう言ったのかは分からなかった。
    でも、きっと聞かない方がいいのだろう。
    なんとなくだけど、そう、思った。

    お腹も満たされ居心地の良いソファーに座っているうちに、また睡魔が体を襲ってきた。抗えない睡魔に、瞼が閉じようとしていく。

    「眠い?」
    「うん…」

    素直に頷くと、「寝ていいよ」と頭を優しく撫でられる。
    大きくてゴツゴツしているのに、手つきが優しい。
    壊れ物を扱うようなその触れ方にぼんやりとする意識の中、エースの結婚相手が自分だったら良いのに、なんて柄にもないことを思ってしまった。

    「ユウ」

    意識が途切れる寸前に聞こえた、彼の優しい声音と言葉。

    「未来で待ってるから」

    霞んでいく意識の中、エースの言ったことがよく聞こえなかった。聞き返そうとしたが、それは叶うことがなかった。
    ゆっくりと、泥に飲み込まれるように体も意識も沈んでいった。







    「…眩しい…」

    小窓の向こう側から、ちゅんちゅんと小鳥のさえずりが聞こえる。重たい瞼をこじ開けるように開けばそこはいつもの見なれたオンボロ寮の自室だった。
    見渡しても、自身が寝床として使用している寝室が視界に収まった。

    「ん〜オレ様もう食べられないんだゾ…」
    「…グリム」

    そばに相棒のグリムが寝言を言いながら眠っている姿に、安堵した。
    夢を見ていた気がする。とても不思議な夢を。

    「…よく思い出せないけど、楽しかった気がするな」

    上手く思い出せないのに、悪い夢ではなかったと感じるのは何故なのだろう。分からないけれど、今日はいい一日になる予感がした。

    「あ…エースから」

    ピカピカと存在を主張するように光るスマホを手に取り確認すれば、エースからメッセが届いていた。

    『今からオンボロ寮行ってもいい?』

    ほんの十分前に来ていたメッセージ。休日だと言うのに、彼はしょっちゅうこうやって遊びに来る。
    それを彼に言うと「休日だから来るんじゃん」と言われてしまうのは目に見えている。

    「いいよ…と」

    返信をして、エースが来るまでに身支度を整えねばならないとベッドから立ち上がった。
    カーテンを開き、陽の光を思う存分体に取り入れる。

    「うん…今日もいい天気」

    窓から見える太陽に向かって、ユウは笑顔で笑いかけた。
















    「…帰ったな」

    一人になったリビングでぽつり呟いた。
    先程までいた幼き日の彼女は、どうやら元の時間軸に帰れたようだ。
    懐かしい気持ちになった。まだエースすら自分の気持ちに気づいていなかった頃の年齢。
    いや、もしかしたらもう自身の気持ちに気づき始めていた頃の自分がいたかもしれないが。

    「エース!!いる!?」
    「…さて、と。オレのお姫様のご帰還だな」

    バタバタと派手な音を立てながらリビングに入ってきたのは、数時間ぶりのこちらの時間軸の彼女。
    息を切らしながら自分の顔を見るなりホッとした表情を浮かべた彼女に、エースは腕を広げて出迎えた。

    「おかえり、ユウ」
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