「平田平男」早朝に飛び込んできたけたたましい通知音で叩き起こされる。
眠気と戦いながら携帯を開くと、そこに届いたメールにはとある"治験バイト"の『合格』を伝える文面が書かれていた。
「…マジか」
眠気などとうに消えさっていた。
─数週間前
「おーい?…聞こえてんのか?起きろって、授業終わったから帰るぞ〜」
そう声をかけられ目が覚める。
「ん…悪いな、起こしてもらっちゃって。先帰ってても良かったのに」
「寝てる友達ほっとけねーだろ普通。それにお前、帰りに漫画買うって言ってただろ?早くしないと売り切れちゃうぜ。」
「はは…ほんとお人好しだなお前、別に漫画くらい今度買うよ」
「ネタバレ嫌いなくせによー言うわ」
そんなふうに他愛のない会話を交わしながら帰りの支度をしていると、やはり自分は恵まれているのだと実感する。
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