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    ando_mha

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    ando_mha

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    侑+治♀
    侑が、己がシスコンであると認知してる世界線の、十月下旬の寒い日の話
    キャラ崩壊・未校正注意

    あぁもう、俺の妹がこんなにも 時は十月。つい先日までは二十五度をゆうに超え、夏服でも問題なく過ごせる日々が続いていたというのに。あれよあれよと気温がさがり、刻一刻と冬に近づいていく。
     学校では、集会の度にやれ肩が凝るだ、ダサイだなんだとブーブー文句を言っていた女子たちが、いそいそとセーターとブレザーを羽織だし、チームメイトたちは行き帰りに着るジャージの下にパーカーを仕込み出す。そんな晩秋の到来に、侑はデレデレに緩みそうな頬をなんとか引き締めて体裁を保っていた。
     元々、侑は子供体温だった。寒さにもめっぽう強い。勿論、寒さは感じる。けれど、厚着をしないと耐えられないほどではなかった。小学生までは年がら年中短パンと半袖で過ごし、学校からも皆勤賞をもらうほどに身体も丈夫。こたつは好きだけど、無くても生きていける。そんな感じで冬とは実に良好な関係を築けていた。
     一方、だ。一方双子の片割れといえば、実に侑とは真逆。めっぽう寒さに弱かった。
     そこには、男女という性別の違いも関係するのかも知れない。侑からすれば、自分よりもフニフニと柔らかい肉を携えたお前の方があったかいんちゃうん、という気持ちだったが、元々女性の身体はホルモンとか色々あって冷えやすい、らしい。らしいというのは、前にぽろっとその気持ちを吐露したときに、母親からコッテリ搾られた時に耳にタコが出来るほど言われたからで、実際に調べたわけではないから。
     そんな女性の中でも、治は特に寒がりだと、侑は思っている。侑が半袖で駆けずり回っているのを見て「見るだけで寒くなる」とげっそりしているのはもはや風物詩であるし、まだ陽も長い十月の頭くらいから腹巻を常備し始めるのを知っている。前に、クラスの女子に「お前らも腹巻とかするん?」と何気なく聞いたら「お婆ちゃん扱いせんでや」と白い目で見られたから、少なくとも女子高生で腹巻をするのは普通ではないのだろう、と分析している。
     肌着だって、保温タイプのものを愛用し、タイツもやけに分厚いものを履いている。さらには暖かパンツ、とか言って毛糸で編まれたモコモコのパンツまで備えているのだから、治の寒がりがどれほどのものなのか、お分かり頂けるだろう。
     さて、ではなぜ侑が冬になると頬が緩んでしまうのか。それは、その治の寒がりが密接に関わり合っている。
     まず、前提として侑は、極度のシスコンだった。
     いや、確かに、シスコンであるなら何故、あんな学校の名物になるような大乱闘を繰り広げられるのだと、疑問に思うかもしれない。それでも、侑はシスコンだった。治が、自分そっくりの顔をした妹が、どうにも可愛くて仕方がなかった。
     きっかけなど覚えていない。脳の片隅に「おにいちゃん」とたどたどしく呼ばれた記憶がこびりついているけれどそれより前に、もう妹は可愛かった。そもそも、その古い記憶の、純真無垢な治と比べれば、今の治ときたらとんだジャジャ馬だ。教室では外面よくぶりっこをしているようだけれど、侑に対しては辛辣だし、油断すれば蹴りを飛ばしてくるし、グーで顔面を殴られたこともある。ゴリラのようなパワーの持ち主だ。けれど、それでも、やっぱり妹は可愛い。これが世界の真理である。
     さて、そんな治が、今、自分の腕の中にすっぽりと収まっている。
     何故か。
     そう、寒いからだ。
    「ツム」
     学校から一足先に帰ってソファでくつろいでいた侑の手をグッと引く治のなんと不機嫌そうなことか。けれど、侑はピンと来ていた。「なんやねん」とこちらも不機嫌そうに返して、イヤイヤながら体勢を整えているていを装う。が、もう、幸せへのカウントダウンは始まっているのだ。
     焦らすようにゆっくりと、ソファに深く腰掛け直した。途端に、治がボフン、とこちらにもたれてくる。双子だというのに、全く違う体温、全く違う重み、全く違う肌質。全く違う、サイズ。それが、腕の中に収まる。
     確かに脳内でファンファーレが鳴った。冬最高。もう、一生冬ならいいのに。
    「……はよ、あっためぇや」
     通常より低い声。けれど両脇に垂れ下がったままだった侑の腕を、治が己の腹に回し、そしてホッと安心したかのように身体の力が抜けたその時。気づく。うなじが、うっすら赤く染まっていることに。
     瞬間、身体の中にビビビッと電撃が走る。叫び出したいような衝動に駆られ、頬の内側を思いっきり噛み締めながら、しみじみと、思う。
     あぁもう。俺の妹が、こんなにも可愛い。
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