此処に居る理由「はぁい、こちら太宰……」
『何処で油を売ってる! この唐変木!!』
鼓膜を突き破る勢いの国木田の怒声を想定していた太宰は、携帯端末を腕いっぱいに耳から遠ざける。
遠ざけたはずだが、一字一句はっきりと聞こえた。
怒声が止んだ事を確認し、太宰は端末を通常の距離に戻す。
『こっちは仕事が山積みだ、さっさと戻って来い、この包帯無駄遣い装置!!』
自身の言葉に再び怒りが再熱し出したのか、国木田の声が荒くなっていく。
「落ち着き給えよ国木田くん。私は常に探偵社員とはどうあるべきか熟慮している。だからこそ、今、行動すべきだと思ったしだいなのだよ」
『何をわけのわからん事を、貴様のどうでもいい熟慮など要らん、必要なのは人手だ!』
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