ミケとミケ子の8番出口「—— と言うことで、奥様のお力添え頂きたくお願い申し上げますぅ〜〜」
鼠色のボロ布を纏った前歯と髭が特徴的な男が両手の平を擦り合わせヘコヘコとこうべを垂らすが、奥様と呼ばれた女子高生は歩調を緩めなかった。
奥様でも無ければ、お力も無いし、これからバイトの時間でもあったからだ。
「ねぇねぇ、奥様〜無視しないで下さいよぉ〜」
「ねずみ男、だからミケ子さんに頼るのは無理だと言ったろう?」
ねずみ男と呼ばれた男の後ろにはもう1人男がいた。名は田中ゲタ吉、先を歩くJKのクラスメイトだ。
忠告も聞かず、おべっかを並べ周りをウロチョロするねずみ男にミケ子が痺れを切らし「着いてくるな」と怒鳴れば、
「ミケ子〜また田中と喧嘩? もうちょい彼氏に優しくしてあげなよ〜」
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