04【ささやかな報復】「あっちい」
外は連日35度を超す猛暑。夕方の学校からの帰り道であっても、和らいだ上でまだ暑い。少し歩いただけで尊の額からは汗が流れ落ちていく。
「暑い。あっつい!」
『騒ぐと体力を消耗する上、余計に暑さが増すそうだぞ』
デュエルディスクの中から目玉だけをギョロリとさせている不霊夢がうんざりした様子で尊を、窘める。彼の場合は暑さではなく、尊のこの一辺倒な反応にうんざりしているのだが。
「わかってるけど、暑いもんは暑いんだよ。いいよなAIはさ。サイバーワールドって、基本的には年中快適なんでしょ?」
『まあ、そうだが…』
LINK VRAINS内のフィールド等、自然を模した特殊地形では別なので感覚として暑さや寒さへの理解はあるが、基本的にデュエルディスク内部にいる不霊夢には暑いも寒いも存在しない。
1984