ほんの少し目を離した隙に、あの人はいなくなった。
他の人間に案内された先は手が生えた血溜まりだった。3本生えたその手があの人のものだと、何故か理解した。
近寄れば、蒼白く骨張った手が、錆びた匂いを纏いいつものように撫でてくる。あの人がくれたものを奪われて、頭から沈められた。苦しくはなかった。
「」
濁った底から日溜まりのような声がした。
以降のことは覚えてない。
初めてあの人が死んだ時のことだ。

Tap to full screen (size:768x1024).Repost is prohibited
Follow creator you care about!☆quiet follow