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    #AIの民#Acc

    @AccLubOn

    AI絵作ってるから嫌いな人はみないでね
    鬼切くんがすき

    ※パスは何も書いてなければSP鬼くんが手に持ってる刀の本数です

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    テーマは歩幅。

    ##光切

    秋風に揺れる決意秋風が頬をかすめる午後、山の裾野は紅葉の絨毯に包まれていた。燃えるような赤と黄金色が秋の光を受けて輝き、辺り一面を暖かな彩りで満たしている。その静かな山道を、二つの影が連なって歩いていた。

    前を歩くのは、頼光だ。堂々たる背中が秋風を切り裂き、力強く音もなく地面を踏みしめていく。その姿は一本の大樹のように揺るぎなく、鬼切にとっていつも変わらない頼もしさを感じさせた。
    しかし、その頼光に追いつくのは、今の鬼切にはひどく難しいことだった。

    頼光の歩幅は広く、いつも通りの速さで歩いていても、今の鬼切にとっては少し速すぎた。小さくなった身体で追いすがるように歩き、時には小走りになる。それでも、完全に肩を並べることはかなわない。不安定な速度での歩行は疲労する一方だ。

    「……くそっ。」
    鬼切は内心で小さく悪態をついた。かつては頼光の少し斜め後ろに立ち、歩調を合わせて同じ景色を眺めていたはずだ。その頃の自分なら、頼光がふと視線を向ければすぐに目が合い、無言のやり取りが成り立った。頼光の意志の強い横顔に触れるたびに、安心と誇らしさが胸に満ちたのを覚えている。

    だが今はどうだ。見えるのは頼光の広い背中だけ。その背中を追うことしかできない自分に、鬼切は悔しさと無力感を抱えながら、それでも足を止めることなく前へ進んでいた。

    そんな時、不意に頼光の足音が変わった。鬼切は瞬時に気づく。
    ――速度を落とした。

    頼光は決して振り向かない。たださりげなく歩調を合わせただけだ。
    気づかれた悔しさと、僅かなありがたさが入り混じる。唇を結び、拳を強く握った鬼切は決心したように頼光の横へと歩を進める。

    「気遣っていただかなくとも平気です、頼光様。」
    精一杯の平静を装いながら、強がるように口を開く。

    頼光は足を止めることなく、ちらりとも鬼切を見ないまま静かに応じた。

    「なんのことだ?」
    そして、前方に広がる紅葉を指さし、ふっと優しい声を落とす。
    「ほら、紅葉が綺麗だ。たまにはゆっくり景色を堪能するのも悪くない。」

    その一言に、鬼切は何も言い返せなくなった。確かに、秋の風景は息を呑むほど美しい。だが、それが気遣いのごまかしだと分からないほど、鬼切は鈍くはない。
    悔しい。

    沈黙が二人を包む。風が枝を揺らし、色づいた葉がはらりと舞い落ちた。赤く染まる夕日と燃える紅葉が二人の影を長く伸ばす。

    鬼切はその影を見つめ、再び拳を握りしめた。
    ――もっと強くならなければ。再びこの背中に追いつき、隣に並んで歩くために。

    決意を秘めて前を見据える鬼切の目を、頼光が見下ろしていた。
    その顔には、微かに笑みが浮かんでいるように見えた。

    二人の足音が再び重なり合いながら、秋の山道は夕暮れの静けさに包まれていった。
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