Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    やじるししも

    @yazirusi_ue

    やじるしうえのしもいやつ、つまりやじるししもってわけですね やかましいわ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    やじるししも

    ☆quiet follow

    よそのこのイカ(れいんさん)と↑のイカ(私)のうちよそ創作です。
    れいんさんが消えた時、きっとれいんさんは痕跡を残さずに消えるよね、というお話から着想を得ました。以前捧げたものの加筆修正したものになります。お借りさせていただきありがとうございました。

    快晴 最近、めっきりれいんちゃんの姿を見かけなくなった。毎週水曜には必ずやってきて、困ったように微笑んで、高くて柔らかな声でコーヒーをオーダーするれいんちゃん。
     私の──友達。

     もう一週間も見ていない。元々体が弱いようだったし、熱でも出しているのかな。死んだりしてないかな? ふと気づいたその異変は、私の不安をいっぱいに煽る。私はメッセージを送ろうと思い立った。
     友達、だし、別にメッセージを送ることぐらい不自然じゃないし、と言い聞かせて、ナポリタンとコーヒーを運びながら文面を吟味する。
     元気ある? がいいかな、でも上から目線になっちゃうかな、普通に大丈夫でいいかな。昔どう心配したっけ? 送ってどうするんだろう、返信も負担にならないかな。でも元気な証拠が欲しい。

     そわそわする気持ちを抑えきれず、休憩時間が始まるとすぐにスタッフルームに駆け込んだ。そして私は一目散にフレンドリストを開く。

     そこには、あの子の名前はなかった。

     「.......えっ?」
     針を刺された風船が一気にしぼむみたいに、浮ついた気持ちが一気に萎んでいった。
     ブロックされた? 私が何かした? 見落とした?
     落ち着いて、ゆっくり、何度も何度もフレンドリストの名前を読み返す。指さしもした。幻覚じゃないかと頬をつねった。でも、天地がひっくり返ったって、フレンドリストには名前がなかった。

     ブロックされた。
     じわじわと、その事実が胸にひびをいれる。
     信じたくないが、嫌われたのが本当にそうなら、店に来なかったのも避けられてるからと思えば辻褄が合う。最後に会った時にされたナワバリのお誘いはお世辞だったのかな。でも、あの時の笑顔は本当だったと思うし、あの言葉に裏があると思えない。

     たのしかったよ。また遊ぼうね。

     ぐるぐる、思考がどんどん回る。私が悪かった? たのしかったよ。音を立てて加速する思考は止まらない。れいんちゃんに嫌われた? どうして。あれは嘘じゃないと信じたい。たのしかったよ。裏切られたのだろうか。柔らかな声が脳裏にこだまする。こだまして、こだまして、遠くなって。
     私は何もわからなくなった。

     呆然としながら、いつの間にか出されていたまかないのパスタを口に詰め込む。いつも美味しいはずのそれは、味のしないガムを噛んでいるみたいだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works