『思っていた以上に紳士的な男だった』
冬弥はそう思いながら布団にうつぶせたまま自分にかけられていたシーツを肩まで引き上げた。気温が低い。窓の外を眺めているその男をじっと見つめてみる。
「こりゃ、相当に積もりそうだな」
どんどんと白く染まっていく外の景色を見て。
見目麗しい外見だ。
「寒くないのか?」
その問いに、整った顔が少しだけ緩む。
「ま、さっきだいぶ熱くしてもらったからな」
笑うその姿は情報で仕入れていた年齢よりもだいぶ幼く見えた。
彼はといえば、これといった活躍も聞かず、上がる噂といえば「女を何人抱いた」だの「部隊の若いのに手を出した」だの浮ついたものばかり。
「男でも構わず手を出すという噂は本当だったんだな」
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