本格的に季節が冬になり、寒さが厳しくなってきた。僕やまわりの人たちはマフラーを巻いたり、コートを着たりしてしっかりと防寒対策をしているが、先輩は手袋しかしていない。冷たい風も吹いているのに平気そうにしている。
「ねぇ先輩、その格好で平気なんですか?」
「ああ、平気だよ。寒さには強いからさ」
「………そうですか」
本人は平気だと言うけれど、風邪をひきそうで心配だ。僕的には暖かい格好をしてほしい。失礼だけど注意をしても言うことを聞かなさそうだ。
良いことを思いついた。恋人からマフラーをプレゼントされたら冬の間ずっと巻いてくれるかもしれない。僕と先輩は付き合っているのだから、それを利用すればきっとうまくいくはずだ。この作戦を実行するため、先輩と別れてからショッピングセンターに向かった。すると、小次郎が話しかけてきた。
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