それなりの　歌仙さんと付き合って八年になるわけですが、年末と言えば連隊戦だとかおせちの準備だとか、そういう忙しさでクリスマスデートなんてものはやったことがない。本丸暮らしでおはようからおやすみまで、ずっと一緒に居るわけだし、もう戦友とか、家族とか、そういう感じの幸せがある。……全然、気にしてない。審神者友達の話を聞いても羨ましくなんかない。まったく、本当に。歌仙兼定の強みは家でこそ生きるっていうかさ。

「万屋の福引で食事券が当たって……その、行ってみないかい」
慣れない洋装で、ロングコートもセーターも似合っているのに、新品すぎて着られている感がある歌仙さん。さり気ない誘い方で完璧だ、と思っているらしい、ふふんと得意げな笑顔が可愛い。他の刀剣男士にアドバイスを頼んだんだろうなってことに私は気がつかなかったふりをして。

レストランでは味付けに感心して、私が美味しいと言ったものを本丸でも作れるだろうかと調味料の予想をしていたし、イルミネーションは私より感動して歌を詠み始めて何十分と立ち止まっていたけれど、白い息も輝いているのだから気にしない。私の少し冷えた手を、えいっと歌仙さんの手に押し付けて、「……っ！こんなに冷たく！？」と慌てる様をすっかり楽しんでから、ちょっとだけゆっくり歩幅を合わせて、何も特別じゃない取り留めのない話なんかをしながら本丸に帰ったのでした。