「え、君って夏服持ってたんだ」
「それはこちらの台詞だ」
片や黒ずくめの戦闘服をノースリーブと涼しげな上着に、片やフードのついたロングコートを鮮やかなロドスブルーのパーカーと生成りのハーフパンツに。あまりにも見慣れぬ姿に同時に怪訝な顔になった両者が開口一番言い放ったのがそれだった。
「へっへーん、これは去年かわいいアーミヤに見立ててもらったものでーす。『そのお洋服のままですと、暑さで倒れてしまいますよ!』って。かわいくない? 私を心配してくれたんだよ」
「黒ずくめの不審者と一緒に歩きたくなかっただけだろう」
「オブラート! わかってるけどオブラートに包んで!」
さんざん地団太を踏む上司を鼻で笑いながら、サルカズはそれで、と話を軌道修正した。
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