和風ホラーのようなパロ 最初の部分8月。
ボストンバッグが三つ乗せられた軽自動車に背の高い男が二人、おっとりした女が一人真っ青な夏空の下を走っていた。
「母さんの実家へいくのは久しぶりだなぁ。ジェイドが確か小学校一年生の時以来だったか?」
「そうですね、まだこんなに大きくなかった頃ですもの。ジェイドさん覚えてる?この山」
ジェイドはウトウトとしていた目を緩く持ち上げ、ガラス越しに指さされた山を見る。何の変哲もない小さな山。高校に入学し、登山部に入ったジェイドとしては少々物足りない高さではあるが、田舎特有の空気と言うものがある。それほど手つかずの自然に近いであろう景色を想像して、頬が少しだけ緩んだ。
「あの山は登っても良いんですか?」
「登るのは構いませんよ。ただ地元の人もあんまり立ち入らない暗い場所だから遅くまで遊んでいてはダメですよ?」
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