物言わぬ、お前へ。『今日の記録、どう?』
『凡そ1325g。昨日と変わらん!』
『了解。ありがとう。』
添と子タろのここ最近のチャット履歴はこの流れの繰り返しで埋まっている。添がそれの重さを聞く、子タろが答える、それに軽く反応する添。これの繰り返し。
『彼女』の隣に置いた"それ"の緩い円柱型の側面に、添は優しく手を沿わせた。ピコ、とスマホから通知音が鳴る。こんな時に、と溜息を吐きながら添が投げ出していたスマホを手に取ってロック画面から通知の内容を確認する。それを見た瞬間、すぐに添はロックを解除し、その通知を届けたアプリを開く。
『おはよう、テン。』
添は少し表情を綻ばせた。そして、"それ"に再び顔を向けて、手でその側面を撫でた。
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