明晰夢と愛 夢を見ていた。朝のラッシュ時が過ぎ束の間の休息に事務所で机に俺は突っ伏して仮眠をとっていた。
夢の中にすらあいつ、小田原は現れていた。なんでこんなところにいるんだと困惑していたが夢の中の小田原はひどく優しく手を取って、「今更遅いかもしれないが、伝えたいことがあって」と宣う。
なんだ、と思ったが夢の中ならば小田原の勝手にさせておくかと思い夢の中の俺は「何が今更なんだ」と応える。
「俺はお前が欲しい、愛してるというのがぴったりくる言葉だろうか。こんなこと多摩がいる前で言えるわけないし、長く付き合ってきた分もう受け入れてくれるかもわからないが」
夢の中の俺は固まってしまった。俺だって本線格たるお前の背中を追ってここまでやってきた。何かしらの形の愛はあるつもりだ。しかしこの小田原の俺のことが欲しいや、愛してるがどんなつもりかわからずにいる。
1995