約束(仮タイトル)ひとつ約束をした。赤い髪の、ともすれば少女と見紛うほどに愛らしい少年と、葡萄畑の側の一際高い木の下で。暗闇の中、近くのお屋敷から漏れる灯りを頼りに、手を繋いで駆けた。僕と君が会った、最後の日。
『大きくなったら、僕と一緒に――』
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仕事終わりの一杯は格別である。かつて義兄弟には理解できないと言われたが、ガイアにとってはごく当たり前の真実であり、多くのモンド人にとってもまた真実なのだろう。それを裏付けるかのようにこの店――エンジェルズシェアは今日も賑わいをみせている。酒の肴は人それぞれだろうが、ガイアにとってのそれは、今日もまたカウンターの奥で酒を作っているディルックだ。とはいえずっと見つめていられるわけもなく、こうして視界のすみに納めるしかないのだが。
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