「勘違いでも」 まぶたの裏まで貫くような強い光。あまりに深い眠りから勇利が目覚めたのは、小さな電子音が、ピコンと耳元で鳴ったからであった。二、三度瞬きをした直後、一気に現実感を取り戻した青年は、ベッドの上から勢いよく身を起こし、手元のスマホへと目を落とした。
『ユウリ、おはよう。予定通り、十一時に迎えに行くけど大丈夫? デート楽しみにしてるね!』
「まずい……!」
ヴィクトルからのメッセージアプリ通知、現在の時刻は――十時五十分だ。
「……やっちゃった……」
青年は、深いため息をついた。昨夜、夕食後にヴィクトルと別れて一人暮らしの家に帰ってから、あまりの眠さにシャワーも浴びずに寝落ちしてしまっていたらしい。太い眉をへにゃりと下げて、慌てて返信をする勇利。
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