世にも珍しい喋る駒鳥を拾った小間使い
「どーしても喉が渇いて、水を求めて商店街をフラフラ飛んでたっスよ、鳥なんで。そしたら急に吹き荒れた風に流され、気がつくと見知らぬガキと目に悪い金ピカ野郎が目の前に! 肝心のシャバ僧もマイ天使も消えちゃって、これから一体どうなっちゃうっスかー?!」
喚いた後、急にスンッてなる駒鳥
「……ってワケっス。あ、自分のことは駒鳥さんでいいっスよ。デコ助野郎はさんをつけるべしって偉い人が言ってたっス」
「この小ささでは食える箇所も限られようが、ないよりはマシよな。丸焼きが良いか?」
「可哀想なんでやめたげてください……」
駒鳥を保護した小間使い。その後なんやかんやで事件に巻き込まれ、小間使いにも危険が及ぶ。
飛んできた攻撃が彼に当たる寸前で、駒鳥が身代わりになった。
「そんな……!」
「……って死んだー!!小さき命を何だと思ってんだあのエログロナンセンス煮凝り!?腐っても邪神呼ばわりされるだけあるっスね!マイ天使も結構雑に殺してくるっスけど!!」
「い、生き返った……?」
「勘違いしないでほしいっス。恩を着せられっぱなしじゃ久遠寺家の品位に関わるからっスよ。本当は有珠さん以外の身代わりになんてなるつもりなかったっスけどしゃあなしなんで!感謝に咽び泣いていいっスよクソガキ!」
「とりあえずありがとう!」
その後、無事解決して戻ってくる。帰りの駅で誰かの呼び声が。
「あ、いた!」
「ハッ、その間抜け声はシャバ僧!」
「有珠は人混みに慣れてないから俺が代わりに探しにきたんだ。急にいなくなって、有珠が探してたぞ」
「マジっスか?有珠さんが自分を?うおお今行くっスマイ天使ーー!!あばよクソガキと金ピカ!精々すったもんだして爆発しやがれィ!!」
「またねー!」
「君が面倒を見てくれていたのか。色々と世話になった、ありがとう。あの駒鳥は俺の友人の大切な家族なんだ」
「そうだったんですか……飼い主?さんが見つかってよかったです」
「ああ。本当にありがとう。あ、そうだ、是非名前を教えて欲しい。今度、駒鳥の持ち主がお礼の品を送りたいらしいから」
「そんなのいいですよ。駒鳥さんがオレを守ってくれたので、それで十分です」
「でも……」
「……これが住所と名前だ。とっとと持って行くがいい。貴様の友人とやらが待っておるのだろう?」
「……!はい、ありがとうございます。じゃあ、これで失礼するよ。お二人とも道中気をつけて」
「はい!駒鳥さんにもよろしくお伝えください!」
握手をし、笑顔で別れる一行。賑やかな駒鳥が繋いだ、瞬きの間の縁の話。