ミッドナイト・レスキュー見渡す限り広がるゴミ山。
元々あった民家や商店はゴミや瓦礫に埋まり、子ども達は埋もれていない屋根を、まるで地面のように伝って駆けていく。
土の地面など殆ど見えない、この世の終わり。
そんな、生命の最前線で数名の男女が黒い服に身を包み、ゴミだらけの海岸に降りた。
花で作った冠と、木で作った板。
それを、ゆっくりと海へ流す。
「今後、彼の加護は無い」
数名の中の誰かが言った。啜り泣くような声音はすぐに、波の音に掻き消える。
この海で神とも紛う特別な存在。
しかし、彼らの血液もまた、赤だったのだ。
「革命には大義名分が必要だ。我々は今、それを失った」
大きな波にも沈まずに、花冠と木の板はいつまでも揺蕩っている。
木の板が一度、その別れを惜しむように、海岸付近まで戻ってきた。
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