映画から抽出するソニナコ小説オレの恋人ナックルズは、ベットに鎮座し、その紫色の目を爛々と光らせて堂々と宣言した。
「よし、交尾をするぞ!!!」
「…………what's?」
OK、話を戻そうか
昨日、オレとナックルズは恋人同士になった。
テイルズとナックルズたちが、この地球にやってきた後、グリーンヒルズで楽しく過ごしてた。オレは、地球に長く住んでるセンパイとしてこの地球にあるサイコーに楽しいものたちを教えてあげてた。
それはもう、アイツは目を輝かせたり、理解できないって顔してた。オレも、めちゃくちゃ面白くって、夢中になって色んなものを見せてた。
でもそうやって面白いおかしく過ごしているうちに、ナックルズに対する気持ちってのが、テイルズやみんなに対する気持ちとは違うって気づいた。
そう…「like」というより「love」ってやつだ。
アイツは男だし、タッパはデカいし力は強い。でも、オレ自身も信じられないくらい好きになった。
だから愛を伝えた。いつ言えるかもわからないからさ。
すると、「いいぞ。恋人になってやる」って!!!!言い方がちょっとアレだが、それはいつもの事だ。
でも、ナックルズは俺のことがちゃんと好きだってわかった!!超嬉しい!!嬉しすぎて真っ赤になった顔を冷やすまで、あの野球スタンドの周りを1人で走り回ってから帰ったさ。
そんでもって今日の昼、オレはちょっとグリーンヒルズの街を歩く前に、洞窟に寄ることにした。
オレの前住んでた洞窟は、よくナックルズが入り浸るようになっていたから。
昨日付き合い始めたばっかりで、オレとしてはちょっとだけでも会いに行きたかった。恋人らしく甘いジョークでも飛ばしていこうか、と画作しながら洞窟を覗く。
「よっ!愛しのハリモグラちゃん〜」
と、軽く声をかけると、いつもなら怒涛が飛びそうな所だが、ナックルズは何かの作業をやめて、
「ソニック、いい所にきたな。さあ、来い」と即座に中へと招かれる。
ナックルズはオレの腕を掴み、以前はテキトーに積んでいたベッドの前に連れて行く。
ちょっとだけ綺麗になったベッド、さっきまで綿でも詰めてたのかふわふわとしている。「どうしたんだよ、ナックルズ」と言いかけたところ…
あとは最初の通りってこと。
とりあえず話を続けよう。
「………交尾?????」
「そうだ。交尾。」
オレが聞き直しても答えは同じだったし、状況は同じだった。
昨日から付き合い始めた恋人が、ベッドに鎮座して、「交尾するぞ」って言い放ってる。
「wait…ナックルズ…お前、ちゃんと意味わかって言ってるのか?」
とグラつきそうな頭を働かせながら聞いてみる。するとアイツは、「?もちろんだ。オレはお前と付き合ってるんだからな、子孫を残す行為をするのは当たり前だろ。」と言ってた、
そうだ、コイツマジでそういう奴だった!!!
「OK!待ってくれ!ナックルズ!交…いやソレは、俺たちにはまだ早すぎる!!」
アイツは地球に来て日が浅かったことを思い出す。まだ、常識の基準は向こうのまんまだった!!
オレは、心の中ではなく、マジで頭を抱えてしまった。
とりあえず、交尾を拒否されたのが不思議だと言わんとばかり首を傾げるナックルズを納得させようと、ベットに一緒に座る。
「ナックルズ…俺たちは昨日付き合ったばっかりだろ?こっちの世界では、段階を踏んでからソウイウコトに挑むもんなんだよ」
おれは、昔捨てられてた雑誌で見たように恋のABCは少しずつ、順番に進んで、最後にセックスにいっちゃうのが理想だと思ってた。
そういう恋愛のことなんて、教えてくれる親みたいな人だってロングクローしかいない。スキンシップなんて、小さい頃にハグしてもらったくらいだ。
でもきっと、それはナックルズも同じなんだろう。
「まあ、こっちの世界に合わせてみるってのも、ロマンティックだろ??」
「全然わからんが、そう言うもんなのか」
「that's right」
俺はそう軽く答えたが、
知るわけがないだろ!!と内心で叫ぶ。
好き同士が付き合うってことは、こっちの世界に来てからやっと知るようになったし、ナックルズが好きになってから尚更そんな感情に向き合ってきた。
(でもオレはあいつより地球にいた。だからオレがリードしないと…!)
と気が引き締まる
ナックルズはまだよくわからないって顔だった。
「そんなこと言ったって、交尾以前にやることなんてあるのか?」
「んー…じゃあ、ハグは?ハグも素敵なコミュニケーションだぜ。ホラ、あの、こう…お互いを抱くみたいな…」
とオレは手を広げ、ハグする動作をしてみせる。おれもそこまで親しい人がいたワケではないからハグとキスくらいしか知らないが、ハグで愛情がしっかり伝わることを知っている。
「……それなら父さんと母さんがやってた気がするぞ。」
どうやらハグで納得したみたいだった。
言ってみるもんだな。
「ok.ナックルズ!!じゃあハグしようぜ!」
「おう」
と両腕を広げると、ナックルズは俺の胸の中に体重を預けるが、次いで、あいつは両腕の筋肉を俺の体にギシギシと音を立てながら食い込ませる。ハグの力強っ!!?
「イデデデデテデ!!!ナックルズ!力入りすぎ!!!今日のチリドッグが胃から出てくる!!」
と言うと、「貧弱なやつめ」と言いつつも、少しずつ力を抜いてくれた。
一応言えば聞いてくれるんだ。やっぱりナックルズは、俺のことを、思っていたよりも好きなんだなーと実感する。
少しずつナックルズの力も緩み体のこわばりも無くなっていた、本当に恋人のハグって感じだ。だが、ナックルズの体に力がはいってないからか、いつもは鋼鉄みたいなの筋肉がすごい柔らかくなってドギマギする。
…特に胸の方が、柔らかい…マジで本物の
……お…っぱいみたいだ…。
そう意識すると、マジで俺のハートがバクバクと早鐘を打ち始めてきた。
(…ど…どうしよう。ドキドキしてきた…!!このまま…押し倒すべきか…!?いや、その前にキス…!?いやそれは急か…!?)
俺が1人で焦っていると、さっきまで俺の首に埋めていた、ナックルズの顔が俺の目の前にあった。いつのまに俺のことを見つめていたのか!?マズい、なんも気の利いたことも言えないから怒ったのか?それとも俺がアガっている事に気づいたのか!?それともキスの催促!?それだったら最高だけど!!と勝手な考えが頭を巡らせていたが、
ナックルズの額が俺の額に、ごちり。と半ば乱暴に当てた。少し鈍い痛みが、俺を混乱から引き戻す。これもきっと、アイツの故郷でやってたことなのかも知れない。少し乱暴だが、不器用なりの愛情表現ってカンジがする。
お互いの体温も、呼吸も、心臓の音も、全部伝わってくる。
「もういいだろ」
とナックルズはハグをやめる。そして、鼻を俺の鼻に少しすり合わせてから、ちょっと名残惜しそうに顔を離した。
体を離した俺には、鼻のくすぐったさと体温がひたすら柔らかく残っていた。その心地よさにちょっと呆然としつつも、「ああ…うん」と腑抜けた答えを返してしまった。
何でかオレは、気の利いたかっこいい言葉も一つも言えなかったけど…悪い気はしなかった。
そんなこんなで、初めてハグしたオレたちは、湖の辺りをまたぶらぶらしていた。
途中ちょっとナックルズを揶揄いたくなった
「なぁ、ナックルズ、今もオレと交…アレ…ってしたいワケ?」
と肘で突っつきながら揶揄う
もう、恋人のABCはわかったはずだからあいつは、ソウイウコトに対する恥じらいくらいはできてるだろ。と思っていた。
オレのからかいにナックルズは眉を寄せつつ突っついた肘をはたき落とす。
この揶揄いは流石に怒ったかな、と反省したのも束の間
「その時がくれば交尾はするに決まってんだろ。」
とさも当たり前に言いはなった。
「えっ…!?マジで!?」
とオレは、思わずデカい声を出した。
湖の向こうで鳥が逃げる羽音がする。
ナックルズはそんなオレに呆れた顔をしつつオレに訳を話す。
「ハァ?そんなの当たり前だろ!オレは恋人のお前を、マスターエメラルドの新しい守り手の一族として…強さを認めている。そして、オレは誇り高きエキドゥナ族の生き残りだ。」
ナックルズは自身の腹をポンと撫でた。そのジェスチャーが妙にやらしい。
「オレとお前で交尾したら、絶対強い子どもを産めるはずだ。そしたら、長い間エメラルドを守れるようになるだろ。」
と得意げな顔をした。
そんな自信大有りの顔をされると、否定をしにくくなってくる。
(男同士でヤッても子どもって生まれないんだったよな?)
ナックルズにここまで自信ありげに言われると、もしかしたら、地球にいるみんなとは少し違って本当に子どもができるかもしれないと思ってしまう。
「マジでそうかもしれないな!そうなったら俺たちのこどもはどっちに似るんだろうな?」
とついぞナックルズの言葉を否定できずにオレはそのまま喋ってしまった。
「オレじゃないか?」
とナックルズは、ワクワクとした様子で話を続ける。どうやら今日はこのまま話に乗ったほうがいい。
きっとその時が来たら、あいつもきっと少しは地球のそういうことにだって慣れるようになってるだろう。
そんなことを考えながら、俺たちはそれぞれの場所へと帰ることにした。
剛直だけど、単純なナックルズ。そんなお前の紫の瞳はオレだけを捉えてくれている。
オレのことを実直に考えてくれている。
だからオレはそんなお前のまっすぐさに応えたいといつも思う。
…オレも、お前となら。
おしまい!!!!!!!!