リバする師弟2 あれから一言も喋らないままさっさと会計を済ませ、モブは俺の手首を掴んでずんずんと進んで行き、俺も俺で振り解く事もせずに黙ってついて行っている。いや振り解くよりどうこのピンチを切り抜けようか考えているうちにここまできてしまったと言うべきか。
どうする? このままではただの師弟からただれた関係へと変貌してしまう、でもいや待てよ、モブのことだ、もしかしたらこのまま帰宅するかもしれないし、どこか飲み直しに行くところかもしれないし、さっきのところもまだ食べてる途中だったから腹減っててラーメン屋に行きたいのかもしれん、うんそうだそうだ、そうに違いない。
俺は自分に言い聞かせながらうんうんと頷き、一縷の望みにかけてひたすら何故だか早足のモブの後頭部を見つめる。そのつま先が向かっている建物の手前に見えてる看板が「休憩」とか「宿泊」とか書いてあるのは気のせいだ、そうに違いないそうであってくれ頼む俺の目がおかしくなったと言ってくれ誰か。
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