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    李坂怜菜

    @jlHt3jBv2ElSdJ5

    つなとら、楽トウの文章を書いたり書かなかったりします。文章の転載は使用料を頂きます、ありがとうございます!(無断転載は請求に伺います🫶)
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    李坂怜菜

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    つなとら。透明人間になる夢を見た🐯の話。🐯視点。

    ↓こちらからお題「透明」お借りしました🌸
    https://odaibako.net/gacha/1151

    透明人間透明人間になった。
    自由に外を歩き回って無銭で諸々を楽しんだり、なんて気持ちには一切ならなかった。周りの誰にも気付いてもらえず、声も届かず、触れることも叶わない。
    世界にたった一人きり。
    そんな気持ちになって、何処にも行けず立ち尽くすしかない。
    助けてくれ。
    口にすることが無意味だと分かるから、口を開いても声を出せない。届かないことを再確認して虚しい気持ちになることは明確だ。わざわざそんなことをする勇気はない。
    助けてくれ。
    それでも心の中では何度も何度も叫んでいる。
    助けてくれ。
    これは罰だろうか。過去に犯したあらゆる罪が脳裏を駆け巡る。
    これは罰だろうか。自分の手で傷付けたたくさんの人間の顔が浮かぶ。
    これは罰だろうか。
    少し先に龍之介の姿が見えた。こちらに背を向けて立っている。
    これは罰だろうか。彼を陥れて、大切なものを台無しにした、罰だろうか。
    助けてくれ。
    言えるはずがない。
    涙が溢れた。
    彼は振り返らない。
    助けてくれ。
    「…たすけて、くれ…」
    掠れた声が喉から漏れ出る。誰にも届かないのに、それでも、手を伸ばすことをやめられない。あの人にだけは、どうしても、見限られたくない。
    龍之介が振り返る。驚いた顔で、真っ直ぐに俺を見た。
    「虎於くん」
    名前を呼ばれる。駆け寄る彼の姿が涙で滲む。伸ばした手をしっかりと掴んで、もう一度、ハッキリと。
    「虎於くん!」


    「虎於くん、虎於くん!大丈夫?」
    身体を揺すられてハッと目を覚ます。ぼやけた視界をどうにか開くと、心配そうな顔の龍之介が居た。
    ああ、夢か。
    「うなされてたから起こしちゃった。ごめんね」
    「いや、助かった……。ありがとう」
    繋がれた手を強く握り返して、龍之介の胸元に顔を埋めた。温かい。
    「虎於くん、怖い夢見たの?」
    「……怖い、夢だった」
    「そっか。もう大丈夫だから、安心して」
    「うん……」
    頭を撫でられる。本当にもう大丈夫なのだと分かって、強張った身体から力が抜けていく。
    「虎於くん」
    「ん?」
    「俺は」
    俺だけは、と言い直して、龍之介は俺の身体を強く抱き締めた。
    「君の手をずっと離さないからね」
    この人なら、透明になった俺のこともきっと見つけてくれるのだろう。
    夢の中の自分に「安心しろよ」と心の中で声をかけながら、大きくて優しい龍之介の背に腕を回し、強く強く抱き締めた。
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