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    1852m海里

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    1852m海里

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    素敵な夢【第一話】松「どうして…?」

    あの日、主が僕にありがとうと言って眠りについてから主が目を覚ますことは無かった。ああ、やっと一緒に帰って来れたのになあ。清「そんなに自分を責めないであげてよ。あの花は確かに主を連れて行っちゃったけど、花を贈ってくれた松井の気持ちは確かに心の底から嬉しかったんだから。」それでも、僕があの花を、主の命を蝕んだあの花を贈らなければこんなことには。松「加州はどうしてそんなに落ち着いていられるんだい?僕はこんなにも加州に慰めてもらっているのにこんな姿で…。」清「あのさあ!!!」松「…っ!」清「確かに俺は松井のこと、何も恨んだりしてないよ?でもさ、だからって…主がいなくなって悲しくないとでも思ったわけ!?ざけんなよ…俺だって主のこと大好きだよ!!!」松「…っ!…すまない。」清「ごめん、俺も熱くなった。でもさ、本当のことなんだよ。みんな主のこと、大好きなんだよ。当たり前じゃん。あんなに俺たちのこと愛してくれたんだよ?好きにならないわけないよね。」ああ、その通りだ。だから僕も主のことが好きなんだ。夢でも良いから、もう一度会えないかなあ。もしそれが叶うなら、僕は必ず…。

    松「さっきこんのすけから、政府から預かった書類を受け取ったよ。審神者が亡くなった為、引き継ぐ者がいない限り、三日後に本丸の解体が行われるとのことだ。主には兄弟も子供もいないので、この本丸は他の審神者に引き継がれることはない。よって解体の方針で進める。三日後の午後十二時に一斉刀解が行われ、終了が確認され次第本丸を解体するとのことだ。主の遺体は明日の朝、政府に受け渡して火葬をしてもらう事になった。明日の朝、みんなで主に最後のお別れをするよ。主が亡くなった以上、この一週間、僕たちに出陣の命が下されることはもう無い。この三日間、各々好きな時間を過ごしてくれ。これをもって、最後の全体会議を終えるよ。皆、お疲れ様。」皆「お疲れ様でした。」まさかこんなにも早く、最後の全体会議を終える事になるなんてね。桑「お疲れ様。松井はこの三日間どう過ごすんだい?」松「ああ、えっと…何も考えてなかったな。」桑「…そっか。他の刀たちは、最後の内番をみんなでしようって話してるみたいでさ、後で江のみんなとも最後の畑当番しないかって話してたんだけれど、一緒にどう?」主がいなくなった寂しさを紛らわせる為だろうか。みんないつも通り過ごす事にしたんだな。主がいなくなっても、彼らは最後まで彼らの使命を果たそうとしてるんだ。僕もいつまでもいじけていられないな。松「ああ、僕も行くよ。行こうか。」桑「うん。」

    気のせいか、今日は今までで一番の豊作となった。これだけの人数がいてもきっと一日では消費しきれないほどの作物が実っていた。主に自慢しようと思い、畑当番が終わってすぐに主の部屋に駆け込んだ。松「あ…。」そこにいる主は布団に横たわり、顔を白い布で隠している。松「…はは。バカだなあ、僕は。」僕は寝ている主の隣に座った。松「ねえ、貴方の話をしても良いかい?貴方と、話したいことがたくさんあるんだ。」篭「あ、松井さん!先に手を洗わなきゃ土が…」豊「しーっ、松は今主と話してるんだ。そっとしといてやろう。」篭「…そうですね。また後にしましょう。」豊「おう。」

    僕にはね、好きな人がいるんだ。鈍感な貴方ならきっと応援してるだなんて言葉をかけてくれるんだろうね。僕が好きなのはね、貴方なんだよ。そう言うと君はきっと、刀剣男士だから従う主のことを慕うのは当然だ、と返すのだろうな。そうじゃないんだ。僕はね、初めて貴方に会った、貴方の元に顕現した日からずっと貴方のことが好きだったんだよ。ねえ、貴方は気付いていたのかな。僕のこの気持ちに、この想いに。気付いてくれていたら嬉しいな。ねえ、僕はもう一度貴方に会いたいんだ。今度は絶対離さないからさ、もう一度僕を抱きしめてくれないかな。夢でも良い、僕の名前を呼んでくれないかな。愛しい貴方だから良いんだ。ああ、神様…この願いをどうか…。松「神様…?」神様って、僕だって神様じゃないか。はは…変だな。気が付けば辺りはすでに暗くなっていた。夕飯の時間までに着替えておかなければいけないな。土が付いたままでは歌仙に怒られてしまう。篭「松井さ〜ん…。」松「篭手切か。」篭「夕飯ができたので呼びにきたんですけど、お話し中でしたか?」松「いや、そろそろ戻ろうと思っていた頃だよ。すぐ戻る。」篭「では、先に戻っていますね。」松「ああ。…じゃあ主、また後でね。おやすみ。」

    松「遅くなってごめんね。ただいま、主。」貴方からの返事は無い。良いんだ、ただの僕の自己満足だよ。貴方がここにいるから、それだけで良いよ。松「まだ少し温かいなあ…。」この温もりが消えてしまう前に、まだ貴方が柔らかいうちに、もう一度だけ、許しておくれ。最後に今夜だけ、貴方を抱いて眠りたいんだ。松「愛しているよ、主、おやすみ。」

    …っぃ………つい……。誰かの声が聞こえる。…つい…ま……い…まつい…。僕?僕が誰かに呼ばれているのか?でも誰が……。審「松井!!」松「…え?あ、主?」審「ぼーっとしてたけど、大丈夫?何かあった?」松「え?あ、いや、何もないよ。」審「では今回は、この部隊で出陣をお願いします。隊長は松井江、よろしくね。」松「出陣…?場所は…?」清「ちょっと、本当に大丈夫?あれだったら今日はやめた方が…。」薬「今回の出陣先は異去だからな、万全の状態じゃないと何が起こるか分からん…。」どうなっている?主はすでに亡くなっているはずだし…それにこの編成に、出陣先も異去…過去に戻っているのか?いや、そんなはずは…。審「顔色がよくないけど…もし本当に具合悪いなら今日は…。」待て、この日は確か僕が異去で見つけた花を主にあげた日…。今ならやり直せるかもしれない。こうして過去に戻れたのだから、今度こそは、主を連れて行ったりしない。主を、貴方を守るんだ。僕が、必ず。松「すまない、少し寝ぼけてしまっていたみたいだ。僕に行かせてくれ。」審「…分かりました。その代わり、何かあったらすぐに帰ってきてね。」ああ、僕は必ず帰るよ。貴方の元に。松「大丈夫。味方の血は流させないから。」
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