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    kiyo_midnight

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    kiyo_midnight

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    #自分が創作で禁止されたら死亡しそうなものをふぉろわさんから教えて貰ってそれを禁止して物語つくる
    というタグで「セックス」「濁点喘ぎ」を封印した作品です。

    #ライシュロ
    LaiShuro
    #ダンジョン飯
    Delicious in Dungeon

    「やっぱりトールマンたちはさ、歌や踊りが好きだよな。」
    エールを片手に、ほろ酔いのナマリが言った。
    眺める先には、旅の詩人がリュートを片手に朗々と歌い、連れの踊り子がカーネーションのようなスカートを翻して踊っている。

    トトン、トン、トトン、トン 音楽のリズムに合わせて、ナマリの太い指が机を叩く。
    テンポの早いステップに赤いスカートが翻り、腕輪や首飾りがシャンシャンと鈴の音を立てる。
    若い踊り子は、ウェーブのかかった黒髪を靡かせて踊る。

    ダンダン!と、足を踏み鳴らし、曲は終わった。
    酒で気分が大きくなった酒場の客の中には、チップをやるものもいた。

    「素敵だったね!」
    マルシルが拍手をする。
    「なぁ、トールマンたち、お前たちは踊らないのか?」
    ナマリがニヤニヤと笑うように言った。
    「私も兄さんも、踊りは苦手だから……」
    と、ファリンがはにかむように答える。
    ライオスも苦笑していたが、ハッと気づくと、もう1人のトールマン シュロー へ、期待の眼差しを送った。

    「なぁ、シュローはどうなんだ?
    東方の踊りを踊れるのか?どんな踊りなんだ?」
    話を振られて、シュローはビクッと肩をすくめた。
    「俺も、そこまで上手くない……
    教養の一環として齧った事はあるが、人前で見せられるレベルではない。
    何より、こちらの踊りよりも、テンポがゆったりしているし、唄もワの言葉で分からないだろうから、退屈だと思う。」
    「ええー……」

    しょんぼりと残念がるライオスだったが、話題はやがて、どの冒険者の歌がうまいだの、声がいいだのという話から、人間を誘う魔物の唄の話になり、やがてライオスは忘れてしまった。


    盛り上がるうちに夜が更けて、宴はお開きになった。
    自室に戻ったライオスは、簡単に装備を点検し、さぁ、寝よう、と、ベッドに横たわった。その時、中庭に面した窓からコン、と音がした。

    「ん?なんだろう?
    あれ?シュローじゃないか?」
    中庭にいたのは、シュローだった。
    口に指を当てて、静かに、というジェスチャーをしたシュローは、いつもと違っていた。
    鎧を脱ぎ、いつも手甲でまとめている袖や袴をふわりと広げた彼は、月明かりの中で天女が降り立ったようだった。

    扇を広げひらりとこちらに合図を送ったシュローは、静かに膝をつく。
    不思議な発声で、シュローが歌い始めた。
    地を這うように低く始まり、うねるような、祈るような歌声は、なぜか離れたライオスの耳にもはっきり聞こえた。
    シュローが立ち上がり、舞う。
    腕を大きく振ると、袖が翻り、扇が月の光を反射する。滑るように歩き、くるりと回ると、裾がドレスのように広がった。何かを切るような動きの後、ダンダン、と、足を踏みならす。
    踊りというより、何か儀式のようなその舞を、ライオスは夢を見ているかのように見守った。

    やがてシュローはくるりとジャンプをすると、跪いて着地し、動きを止めた。
    舞は終わったらしい。
    ライオスは思わず拍手をした。
    顔を上げたシュローは、静かに、と、再び指を口元に当てた。
    そして、口の前で指で丸を作ってしばらく静止したかと思うと、ふわりと風がライオスを包んだ。
    「聞こえるか?」
    「ああ!聞こえる!」
    「だから、大声を出すな。もう夜だ。
    ……これは、龍の来訪を寿ぐ舞だ。
    お前に言われて、久しぶりに舞いたくなった。」
    シュローの声が耳元で聞こえる。
    囁き声に指向性を持たせて伝える術なのだろう。
    「これが東方の舞か!すごいな、シュロー!
    とっても神秘的だった。」
    「舞の内容は、龍の姿を表すものだ。
    うちの近辺では、龍は恵みの雨をもたらす神の使いとされている。」
    「それって東洋龍のことじゃないか!
    シュローは見たことあるのかい?」

    ライオスはいてもたってもいられず、2階からバタバタと中庭に降りていった。
    しかし、中庭には誰もおらず、ただ月の光が冴え冴えとあたりを照らしているだけだった。

    『あなたが見たものが
    蛇のように長い身体をしていたら
    碧く輝く鱗をもっていたら
    そして雷雲の空を飛んでいたなら
    それは、あなた、龍を見たということですよ。』
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