カイヤーのスイーツ戦争〜カイヤーのスイーツ戦争〜
その日、拠点のキッチンに立ったカイヤーの目は、真剣そのものだった。
——いや、正確には、いつもより数段、静かに、しかし鬼気迫るものがあった。
ペリードが朝、目を覚ました時には、すでに部屋に甘い香りが漂っていた。
「……あれ?」
階下からは、泡立て器の連打と、オーブンの扉が閉まる小気味よい音、そして時折「クソッ、焼きが甘い……」という小声が響いてくる。
キッチンに降りてきたペリードの目に入ったのは、まるで貴族の晩餐会でも開くのかというほど、所狭しと並べられたスイーツの山だった。
カヌレ。ガトーショコラ。レモンタルト。フィナンシェ。マカロンに、ティラミス。
そして中央には、三層のベリーのミルフィーユタワー。
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