待ってる「オマエ、邪魔だ。……せめて端に寄れ」
「はは。お腹いっぱいで寝ちゃったか? あとは片付けるだけだからタケルもゆっくりしてていいぞ」
「いや、メシ作ってもらっといてそうはいかねぇ。俺は手伝う」
「そうか。ありがとうな、タケル」
台所でらーめん屋が笑ってる。チビはまだごちゃごちゃうるせー。チビの短い足がオレ様の腹を跨いで歩いてった。どこ通ってやがる。ムカついたけど、それより眠ぃ。あくびが出る。
「ふぁ……」
「おい、起きてるんだろ」
「起きてちゃ悪いかよ」
チビがらーめん屋にフキン持たされて戻ってきた。メシ食ってた机を拭いて、部屋の隅へ片付ける。ちまちま動いてるチビを見てるとさらに眠くなってくるが……。
「……寝てんの、もったいねーよな。せっかくオマエも円城寺さんも、オフなんだし……」
「別に、らーめん屋がオフとかオレ様には関係ねー。……それに休みなのはチビも一緒だし」
「……ふ。じゃあどうして寝るのを我慢してんだ」
「ハァ? ガマンとかしてねーっつーの。ただ、枕が来ねぇからァ……ふあぁ……」
チビがさっきから声を殺して笑ってやがる。らーめん屋が皿洗ってる音がうるせーけど、それは聞こえる。ムカつくけど、それよりも眠いからまァ許してやる。
「らーめん屋、遅ぇっつーの」
「皿洗い、手伝ったほうが早いぜ」
「るせ」
「午後から何する? オマエは円城寺さん枕にして昼寝するだけか」
「知らねー、ンなのどーでもいいし……」
「タケルー、れーん。もうちょっと待っててくれ。片付いたら膝枕でもなんでもしてやるからな」
「うるせぇ! もう寝るし」
皿洗ってる音よりもらーめん屋の声の方がずっとうるせー。ぎゅっと目を瞑っても聞こえてくる。眠いっつーのに。もうちょっと、ってどんくらいだ。