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    masasi9991

    @masasi9991

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    虎牙が2人で練習してる道タケ漣

    ##道タケ漣

    コツコツ練習!「ほら、さっさとやれ。簡単なんだろ」
    「ッ……たりまえだ! 最強大天才のオレ様にかかればンなのォ……」
     威嚇している。コイツに似てるヤツを動画で見たことがある。初めて出会う犬や人間に威嚇をしている子猫だ。コイツは俺の手元の円城寺さんのぬいぐるみに向かって威嚇している。言ってることとは裏腹に。
    「じ、じっとしてやがれ、らーめん屋」
    「ぬいぐるみは元から動かねーって」
    「うるせェ!」
     ……でも、ちゃんとぬいぐるみの円城寺さんを本物の円城寺さんだと見立ててる、って認識はあるんだな、と勝手に感心した。確かに円城寺さんに向かって威嚇してるときと、同じ顔をしてる。本物だったら適当になだめてあしらわれて終わるところだが……。
    「で、どっちから練習するんだ?」
    「ハァ!? どっち、って」
    「告白と、キス、だろ。オマエができないのは。……もっとありそうだな」
    「こッ、こ……こく……ンでもう付き合ってんのに、こ……ッ」
    「オマエが素直に『好きだ』って言えれば練習なんかいらねーけど」
     円城寺さんのぬいぐるみをソイツの目線の高さまで上げてやる。いや、円城寺さん相手の練習なんだからもっと上がいいか? ソイツの視線がぐぐっと上がっていく。上目遣いでガン飛ばしてるってわけだ。
     円城寺さんは、いつもこの光景を見てるのか。手に握ってる円城寺さんのぬいぐるみの尻を眺めながら考えた。
     このぬいぐるみ、小せぇから円城寺さんのイメージとは違うけど、丸っこくてかわいいところは似てる、と思う。いや、全然悪い意味じゃなくて。コイツがこんなに緊張してんのも少しはわからなくもねーと思うぐらいには、似てなくて似てる。本物には、かないっこねぇけど。
    「どっちだ」
    「……す、……きっ……の練習……」
    「もっと大きな声で言ってみろ」
     ソイツの顔の前でぬいぐるみをぴこぴこ動かして会話する。腹話術。今の、円城寺さんは言わねーか。
    「……キス……の、練習を、手伝わさせてやる!」
    「なんだそれ」
     ソイツはそれ以上言うことはないとばかりに口をムッと尖らせて、再び円城寺さんのぬいぐるみを睨みつけた。
     キスの練習を、俺と円城寺さんのぬいぐるみに手伝って欲しい、と。コイツにとってはそっちの方が『好き』だと言うよりハードルが低いらしい。考える前に手が出るようなヤツだからか。
     ……にしても、いつ始まるんだ? ソイツは何も言わず円城寺さんのぬいぐるみをじっと睨みつけて、唇を尖らせて……もしかしてそれってキスを待ってる顔か?
     こんな色気のねぇキス待ち顔、と思ったが……円城寺さんにとってはそうでもねーのか。コイツは素直じゃねぇけど、全部顔に出てる……円城寺さんも、コイツのことはよくわかってる。全部顔に出てるから、緊張して力入ってきゅっと尖らせられたコイツの唇が、いつもよりほんのり赤くなってることも、きっと知ってる。だからそんな顔して待たれたら、たまんねぇんだろうって、俺にもわかる。
     でも今日は練習だろ。
    「自分からしねぇと練習にならねぇ」
    「ア? 自分からァ……ってやり方、知らねェし……」
    「いつも円城寺さんにされてんの、思い出せばいけるんじゃねーか」
    「……んん」
     ……つっても、コイツは円城寺さんからキスされるときはだいたいされるがままだ。俺もそういうときは多いけど……。だから、思い出したところで真似できんのか、とは思う。
     ソイツは思い出そうとして悩んでいる。やっぱりな。視線が泳いでこんがらがった顔してる。……で、それからおもむろにぎゅっと両目を閉じた。
     それじゃ本当にキスを待ってる方の顔だろ。確かに円城寺さんはいつも『目、閉じてみろ』なんて優しく言うよな。それでコイツは素直に目を閉じて円城寺さんを待ってるから……ってことは、いつもされてることを思い出そうにも何も見えてねーっつーことか?
     両目も口もぎゅっと閉じて、探るように顔を突き出し、キスをしようとしてる。探るようにっつーか、探してる。見えてねーから。緊張してぎこちない動きで、円城寺さんのぬいぐるみを探している。
     コイツ、なんっつーか……その仕草に、色気は、ねぇと思う……つーかそれ以前の問題というか……なのに、なんなんだコイツ。かわいい……のか? 俺の握ってる円城寺さんのぬいぐるみを探して、キスしようとして。
     そっちじゃねぇ。全然違う方に頭を動かしてる。焦れったい。俺がこんなことしたら練習にならねーとわかってんのに、思わず俺は勝手に手を動かして、円城寺さんのぬいぐるみをそいつの口に押し当てた。
     やっぱり、キスにしては色気はねぇけど。
    「……ン」
     ソイツの小さい声が聞こえた。焦れったくて危なっかしかったから、今のはしょうがねーと思う。
     それよりなんで俺がドキドキさせられてるんだ。やっとキスできて安心したように緩んでるソイツの顔にも、俺は……かわいいとかはわかんねーけど、なんなんだ。
    「くは……くはは! どーだチビ、やってやったぜェ!」
    「あ、ああ。なら次は、告白の練習だな」
    「ハァ!? ンだそれ、もうキ……スの練習はしてやっただろーが!」
    「まだ円城寺さんが帰ってくるまで時間がある。どっちも簡単だって、オマエ言ってたよな」
     そもそも練習なんて簡単だって威張って言い出したのはコイツだ。それはつまり本番は簡単じゃねぇ、って意味にも取れるが。
     今度は『好きだ』の練習だ。円城寺さんのぬいぐるみ相手の練習で、きっとまたさっきみたいな顔をするんだろう。仕方ねえな、付き合ってやるか。
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