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    masasi9991

    @masasi9991

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    masasi9991

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    自撮りとかぶもも

    ##かぶもも

    作戦的セルフィー ずっと、兜くんにお願いしたいことがある。LINKに届いた何でもない話の合間で、どうにか、言い出せないかな。なんて。
     昨日公開された話題の動画の話。もうすぐテストだから、目標の範囲まで勉強終わるまで見るの我慢してるって。兜くん、えらいな。前向きだ。僕と違って。
     この話の流れでお願いするのは違うか。

     ――勉強、家でやってるの?

     そう送って、カフェのテーブルにスマホを置いた。次の通知待ち。
    「百々人先輩、誰とLINKしてるんですか」
    「ん、友達。……兜くんだよ」
    「確か中学生はテスト前ではないのか。SNSとはいえそう頻繁にメッセージを送っていては邪魔にはならないか?」
    「鋭心先輩、真面目ですね。テスト前でもLINKぐらいしますよ。昨日俺も大吾とは新しく配信になったゲームの情報交換しましたし」
    「え、アマミネくんと兜くんって友達?」
    「ゲーム仲間なんで。ジャンル違うんですけど、その分お互い張ってるアンテナ被ってなくて、有意義な話ができるんですよね」
    「そういうものなんだ」
     相槌打ってると、LINKの通知音。画面を開く前に、さっきのマユミくんの指摘を思い出す。頻繁に……そうかな。さっきからそんなに、メッセージ送っちゃってたっけ。

     ――基本は家でじゃ。仕事がある日じゃと、事務所でやっとったりもするぞ。事務所には頼りになる元先生たちがおるけえのぉ。

     いつも思うけど、兜くんのメッセージ、喋ってる声が聞こえてくるみたいだ。
    「そんなに面白い話題なんですか?」
     アマミネくんが意外そうな視線を僕に向けた。なんだろ?
    「うん? そうでもないけど」
    「秀、人のスマホを覗き込むのはマナー違反だ」
    「わかってますって」

     ――明日なら僕も事務所にいるよ。中学生の勉強なら力になれると思うから、わかんないところとかあったら聞いてね。

     何でもない会話。面白い、ってのとは違う気がする。ただ、兜くんと話をしてるとあったかい気持ちになるから……それがLINKの文字を通しても同じなのが、兜くんって不思議だ。
     でもこの話の流れじゃ、やっぱり言い出しにくいな。あ、だから僕がメッセージのやり取り長引かせちゃってるのか。心当たりあった。
     なかなか、そういう話になってくれない。そもそもどんな流れでそういうお願いができるのか、ちょっとよくわかんない。
     自撮りを送って欲しい、なんて。
     でも前に、硲先生がホーム画面にしてたの見ちゃったんだよね。舞田先生と兜くんの自撮り。あれ、僕も欲しいな……って。まったく同じのじゃなくてもいいけど、あんな笑顔の兜くんの写真が、欲しい。
     だけど理由もないのに普通にお願いするのも変かもしれないから、どうにか、そういう話の流れになってくれたりしないかなって、ずっと思ってるんだけど――。そんなチャンス、全然来ない。
     通知音。ソワソワする。きっとチャンスはない、だろうけど。

     ――今はなにしとるんじゃ?

     今……。顔を上げて、アマミネくんとマユミくんに視線を向ける。今日は次の仕事の下見だ。撮影本番はないけど、この後のスケジュールも埋まっている。会えないな、と思って返信を送ろうとした直後に、別に会うとか会わないとかの話題じゃないかもしれないと気がついた。
     まだ送信してない。危ないところだった。
     一人で空回りしてる。兜くん優しいから、それも笑ってくれて僕は許される気がしてしまう。
     開いてしまったトークルーム、既読を付けてしまった。早く返したい。なんて送ろう。『仕事中だよ』。それだけじゃ物足りない。話を長引かせたいと、まだ思っている。やっぱりチャンスが欲しい。
    「鋭心先輩、ちょっと下がって……いや、やっぱイス引いて前に」
    「む。なんだ? ポーズでも取ったほうが、好ましいか」
    「いや自然な映り込みを追求したいんです。あくまでこのドリンクの写真ってことにしたいんですけど、その上でSNSで軽くバズるような、話題性込みの映り込み……」
    「なるほど、難しい試みだ。しかし……ファンのことを考えると、秀自身も写っていた方がいいだろう」
    「ん、確かに。じゃあシンプルに俺が自撮ってそこに鋭心先輩が腕……あっピース、そのさりげないピースいいですね。鋭心先輩のギャップはポイント高いです」
     すっごい楽しそう。そうだ、見てていいこと思いついちゃった。
     兜くんに自撮り送ってもらうために、まずそういう雰囲気をこっちから作るって作戦。一人で悶々としてるより、そっちの方が前向きだ。
     アマミネくんに倣って、スマホのカメラを起動する。どんな風に撮ろうか。もう既読つけちゃったから、あんまり考えてられない。『今なにしとる?』への返信だから、仕事中ってわかるように、下見のための資料、サンプルとして提供してもらったドリンク、それにアマミネくんとマユミくんも写っていた方が自然だ。
     インカメラに映る自分を見ながらスマホを上にかざす。日差しの当たるテラス席が少し暑くて、ネクタイを緩めていた胸元が、角度のせいでほんの少し奥まで写り込んだ、かもしれない。
     でもそういうのが、いい……の、かも。
     撮って、冷静になる前に、送信。
    「百々人先輩もSNS用ですか? 俺たちも写ってます?」
    「ううん、兜くんに送る用」
     送った画像を二人に見せる。別にそれほど特別でもない自撮りだ。そういうつもり。
    「構図、センスありますね。これならSNSに上げてもいいんじゃないですか」
    「いや待て。百々人の衣服がかなり着崩れている。これはアイドルとして不適切だろう」
    「え? そんなに?」
    「このギリギリ感でバズれますよ!」
    「まずプロデューサーに送信し、判断を仰ぐべきだ」
     そんなに言うほどだったかな。撮れた画像、ちゃんと見ないで送っちゃった。
     兜くんに引かれたらどうしよう。
     今更、トークルームを開き直して画像を確認する。ドキドキする。これは不安のドキドキだ。兜くんがくれるのとは違って――。
     意を決して画像を拡大しようと、画面をタップする直前に、通知音。待って、と思っても自動的にメッセージは更新される。

     ――外は暑そうじゃのう!ワシも冷たい飲みもんが欲しくなったわ。どこの店じゃ?

     普段通りの兜くんだ。引かれてない。し、たぶん、伝わってない……。
     そうだよね。十四歳だもんな。兜くん、大人っぽいから忘れちゃうけど、年下なんだもんね。
     というか十四歳に色仕掛けみたいなことしようとした僕って……。
    「どうしましたか、百々人先輩。プロデューサーからNGの返事でも来ました?」
    「ううん、ぴぃちゃんには送ってない」
     これって絶対ぴぃちゃんも引くだろうな。こんなの見せられないや。
     兜くんに送っちゃったの、どうしよう。もう手遅れだし。……でも伝わってないから、いいのか。それも落ち込むなぁ。
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