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    Rahen_0323

    @Rahen_0323

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    Rahen_0323

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    カキツバタのヒスイ入りその6です。バトルパート。
    以前書いた「置き去った男」に繋がる話です。そちらの1〜7と一緒に読むことをオススメします。シリーズでもあるので「漂流譚」の1〜5も先に読むことを推奨。
    なんでも許せる方向け。書いてから調べたけどヒスイヌメイルって結構重いんですね。まあカキツバタはスーパーイッシュ人でありジジイの孫なので……(てきとう)

    漂流譚 6湿地と言われるだけあり、あちこちに池のような大きな水溜まりがあった。オイラ達はそれを踏み締め靴や草鞋を湿らせながら進む。
    「フカッ!」
    「「!!」」
    やがて先頭を走っていたフカマルが立ち止まった。
    「ぜーっ、ぜーっ、着いた、げほっ、のかぃ?」
    「フーカ!」
    「カキツバタさん、大丈夫?凄いバテてますけど」
    「オイラのこたぁいいから、そんなことより」
    あんだけ動いたのにピンピンしてるショウは、息を切らすオイラを心配するが。
    オイラの体力が無いことは今はいい。それよりフカマルが何故ここへ導いたかだ。
    汗を拭って顔を上げ、フカマルが指差す方を見る。
    「あ…………」
    「アイツは」

    そこには、傷だらけの状態でくたりと倒れるポケモンが居た。

    纏う金属の殻はあまり見慣れない姿だったが。身体の色と直感でその正体を悟った。

    「ヌメイル……?」
    「大変だ!怪我してる!」
    ショウとフカマルと共に駆け寄り、目を伏せているヌメイルと思しきポケモンの容体を確認する。
    「多分野生、だけど」
    「随分弱ってるな……フカマル先輩はコイツに気付いたのか。ショウ、キズぐすりとかきのみとか持ってるかぃ?」
    「待ってて!今出すね!」
    発見した以上流石に見過ごせないので治療をしようと、ショウが道具を取り出しオイラが処置を始めた。
    「手際良いですね。慣れてるんですか?」
    「なーに言ってんだ、べらぼうに緊張してるぜ」
    医者でもないんだからこんなのに慣れるわけがない。いや、医者だったとしても何度繰り返したとしても、カキツバタという男は一生慣れないだろう。
    なにせ、期待や責任や重荷を嫌い逃避するような人間なのだから。出来ればこんな恐ろしいことはしたくないタイプだ。
    でも今はそうも言ってられない。傷付いたポケモンを前に逃げ出すような勇気も無いわけで。
    使ったことも無いクリーム状のキズぐすりを塗り込み、包帯を巻く。ヌメイルの意識は中々戻らない。
    「この状態じゃきのみも食えねえか……?」
    「それなら擦り潰して飲めるようにします!」
    「頼んだ」
    フカマル先輩が「手伝う!」とばかりにショウに手を貸す。重量のある先輩はきのみを潰すのにまあまあ貢献してくれた。
    「しかし、コイツは一匹だけなのか?群れの仲間とかは居ねえのか」
    「確かに……逸れたのか、襲われてバラバラになっちゃったのか、それとも」
    傍らの少女が口を噤む。多分彼女が躊躇って言えなかった可能性は。

    「見限られたか、だな」

    オイラも流石に躊躇したが、なるべく淡々と呟いた。
    そっとヌメイルの肌を撫でる。名前と見た目の通りの質感と湿度に大きく息を吐き出した。
    ……出来たきのみジュースを近づけるも、匂いによって少し反応する程度で飲んではくれない。困ったな。
    「カキツバタさん。あまり同じ場所に長居すれば私達まで襲われる可能性があります」
    「…………そうだねぃ。でもコイツを見捨てるわけには、」
    「それは、そうですけど。……それなら貴方が決めてください。ひんし寸前のその子をゲットして連れ帰るか、ここに置いて行くか」
    「は、オイラが一人で決めんの!?アンタは、」
    「この子を見つけたフカマルは貴方のポケモンです。なら責任は貴方にあるでしょう」
    「…………………………」
    急にとんでもなく冷徹で重たいことを言い出すショウに困惑する。
    いや、これはきっと彼女なりの情なのだろう。聞く限りじゃヒスイは生温くなどない。人間にとっても、……ポケモンにとっても。
    命の取捨選択だとかトロッコ問題だとか、そんなモンは日常的とまでは言わずとも珍しくもないと考えられる。ここで選ばなければいけない。選べなければオイラもフカマルもコイツも……
    ……コイツの為に連れて帰るか、コイツの為に諦めるか。
    弱るポケモンの姿を見下ろした。
    「カキツバタさん」
    一分にも満たない間に考え、決断する。
    そしてショウから渡されていたモンスターボールを掴んだ。

    「救えるかもしれないのに見捨てるなんざ、出来ねえよ。まだ、オイラには」

    甘い考えだとしても、偽善だとしても、犠牲は少ないに限るだろ。

    そうボールを近づける。ショウはただ静かに頷いていた。


    直後、あまり遠くない位置からポケモンの雄叫びが届いた。


    「っ!?」
    「しまった!!ディアルガっ!!!」
    オイラは咄嗟にフカマルとヌメイルを抱き込む。

    瞬間、何処からか"ハイドロポンプ"が押し寄せるも、ショウが繰り出した青色の巨体が受け止めた。

    「っ……!無事ですか、カキツバタさん!!」
    「大丈夫だ!!悪い!!」
    オイラもポケモン達もなんとか無傷で済み、顔を上げる。

    現れた技を放ったであろうポケモンは……これまた知った姿とは違う、ヌメルゴンだった。

    「ヌメルゴン!?ここ紅蓮の湿地なのに……!?」
    「まあ野生のポケモンだからな。移動してきたかなにかしらの要因で進化しちまったかのどちらかだろぃ」
    そういえば今回は調査に来たんだった。ショウは殴り書きで記録を取り、直ぐに臨戦態勢に戻る。
    「よく見たら付近に野生のポケモンが見当たらない……他の子もヌメイルも、もしかしてこのヌメルゴンが……!?」
    「随分気性も荒そうだ。これ以上被害が拡大する前に止めるしかねえな!」
    自分は戦力にならないと分かりつつも発破を掛けると、英雄と呼ばれる彼女は力強く地を踏み締めた。
    「カキツバタさん!!そのディアルガをお貸しします!!ヌメイルの保護と私の援護を!!」
    「おーっ、最善を尽くさせてもらうぜぃ!」
    オイラは立ち上がり、ディアルガと言うらしい巨大なポケモンに触れた。
    彼とも彼女ともつかないポケモンは、主人の命を受けたからかオイラにも反抗せずに身構える。
    「フカマル先輩!!先輩はヌメイルを守ってやってくれ!!いいな!?」
    「フカッ!」
    やる気満々だった相棒にはヌメイルの護衛という役目を与え、オイラ達はヌメルゴンに対峙する。
    「ヌウゥゥメエェェェェ!!!!!!」
    地面が揺れてると錯覚するような咆哮が響き渡る。
    「来ます!!気を付けて!!」
    初手で放たれたのは、奇襲にも使われた"ハイドロポンプ"。
    狙いはショウが出していたヒスイバクフーンだった。
    「避けろバクフーン!!」
    バクフーンはギリギリで回避して、すかさず攻撃の姿勢になる。
    「行け!!"力業・じならし"!!」
    効果はバツグンだったようでヌメルゴンは怯むも、まだまだやる気満々だった。
    続けてオイラがディアルガの技を確認して指示を飛ばす。
    「ディアルガ!!"だいちのちから"っ!!」
    一つ前のショウの動きでヒスイヌメルゴンはじめんが弱点だと分かっていた。案の定ヌメルゴンは大きく身体を揺らして喉を鳴らす。
    それでもまだまだ倒れる様子は無かった。同時に、逃げる素振りも。
    「随分とまあ強情だねぃ」
    「ヒスイの野生は気性が荒くプライドの高いポケモンが多いんです。そういったポケモンは、一度仕掛けた以上相手が退くか倒れるまで全力で来ますよ」
    随分と物騒な地ですこと。現代のイッシュにもそういうタイプは居ないことも無いが、流石にそこまで何匹も何処にでも居るわけじゃない。
    過去の世界ってのは厳しいモンだねぃ、と内心苦笑いする。
    「さあ畳み掛けますよ!!バクフーン、"じならし"!!」
    「おうよ!!ディアルガ、"だいちのちから"!!」
    「ヌメェェエエエ!!!」
    兎にも角にも一秒でも早く終わらせようと、それぞれ声を張り上げた。ヌメルゴンも同時に"ハイドロポンプ"を放つ。
    ヌメルゴンの"ハイドロポンプ"は僅かに軌道を逸れて……

    フカマルとヌメイルに向かって行った。

    「っ!!しまっ」
    「フカマル!!避けろ!!!」
    さっきまではオイラとディアルガが盾となっていたが、ヌメルゴンはバトルによって移動していた。ここは開けた場所で、二匹を守る壁は何処にも無い。
    オイラは駆け出しながら『間に合わない』と悟り、相棒に叫ぶ。
    その直後、

    「フーカァっ!!」

    フカマルは大きな"たつまき"を繰り出して、"ハイドロポンプ"に対抗した。

    「へ!?え!?」

    当然打ち消したり逸らしたりまでは出来なかったが、時間を稼いでくれたお陰でオイラの介入が間に合い。

    フカマル達を抱えて逃げた瞬間、強力な水流は虚空を貫く。

    「あっ、ぶねえ………!!!」
    「ば、バクフーン!!トドメの"じならし"!!」
    そしてショウがトドメの一撃を加え、ヌメルゴンはとうとうひんしになった。
    ぐらりと倒れるドラゴンに、彼女はホッと一息吐く。
    「カキツバタさん!フカマルとヌメイルも!大丈夫でした!?」
    「おー平気。無傷よ」
    「フカッ!カッ!」
    「よかった……凄いよ、偉かったねフカマル!頑張ってくれてありがとう!」
    全員怪我も無く、ヌメイルも追加の負傷は無い。
    なんとかなってよかったわ、マジで。肝冷えた〜。
    「それにしても、さっきのフカマルの技……"たつまき"、ですよね?」
    「多分そうだな。スゲーよ先輩、そんな技使えたなら言ってくれよな」
    「フカ?」
    「いえでも、通常フカマルが"たつまき"を覚えるのはもう少し先で……レベル1の段階で使える筈が無いんですが」
    ショウはハテナを浮かべまくって首を捻る。まだ覚える筈のない技を会得していた、か。
    その理由にオイラは心当たりがあった。現代では常識的な話だが。
    「もしかしたら、"タマゴ技"ってやつかも」
    「たまごわざ?」
    「そ!オイラの居た場所ではよ、トレーナーがポケモンのタマゴを孵すとかよくある話なんだが。そのタマゴから孵ったポケモンってたまーに変わった技を覚えることがあんのよ。フカマル先輩はそれによって"たつまき"を使えたのかもねぃ」
    「へえー……タマゴから育てるって、意外なメリットもあるんですね」
    なにも理解してないフカマルを撫でながら笑う。ショウは大きく目を見開いて感心していた。
    「是非ともその報告を博士にしてあげてください!きっとひっくり返りますよ!」
    「ポケモン博士ならもう知ってそうだけどねぃ」
    「それでも!言った方がいいですよ!」
    「へいへい、そこまで言うなら」
    兎にも角にも一件落着だ。先程のヒスイヌメルゴンは「調査の為に」とショウが捕獲し、オイラは改めてヌメイルをゲットした。
    「任された調査……もしたいところですが、ヌメイルのこともありますしヌメルゴンの件も早めに報告しなくては。少し早いですが、一旦切り上げてベースキャンプに戻りましょう!」
    「はいよー」
    こうして初仕事は失敗とも成功とも言い難い形で終わり、オイラは先輩とポケモン達と共に引き揚げたのだった。
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    Rahen_0323

    MOURNING押せ押せ全力投球鋼鉄メンタル主人公アオイとトラウマ持ちで結構マトモでアオイに特段そういう興味の無いカキツバタの続きです。くっつかないカキアオです。途中で終わります。
    1〜3話から読むことをオススメします。
    カキ←←←アオ要素とモブツバの香りがあります。捏造妄想自己解釈だらけ。ご注意を。
    気が向いたので久々の更新です。続きを投下するかは分かりませんが。
    くっつかないカキアオ 4交換留学終了まで、残り四日。

    「オイラ明日実家帰るわ〜。部の仕事はやれるだけやったしまあよろしく」

    「えっ」
    「え?」
    「えええっ!?」
    朝から突然爆弾が投下されて、主に私とタロちゃんとゼイユが取り乱した。
    言い放ったカキツバタ先輩は相も変わらずケロリとしてて、チョコ菓子の封を開ける。
    「いやいやいや!!困りますそんな急に!!」
    「だーから、困らないよう仕事はやったって。ほら」
    「ホントだ!?先輩やればできるじゃん!」
    「少々粗はありますが、カキツバタにしては素晴らしい出来栄え」
    「だろぃ?そういうことなんでよろしく」
    「う、うぅん、いえまあいいんですけど!!ちょっと突然過ぎますよ!!そういうことはもっと前もってですね……!!」
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    Rahen_0323

    MAIKING以前書いた「閉じた世界」の補完話、の途中経過です。本当は完結して直ぐに書き始めていたのですがなんか止まってしまっていたので一旦置いておくことにしました。
    「閉じた世界」を先に読むことを推奨します。なんでも許せる方向け。
    完成させたい気持ちだけはずっとあるんですけどね……編集も頑張って進めます。
    閉じた世界 補完(途中)孫息子のカキツバタが帰って来ることが決まった。それも、知らず知らずのうちに募っていた沢山の誤解を解いた末に。
    あの子が学園に入ってから五年間。顔を合わせるのは大事な会合やアイリスに関する記念日ばかりで、年末年始から当人の誕生日さえ自分から帰省してくれることは一度だって無く。その上会っても目が合わず碌な会話もしていなかった。それがどれだけ辛く悲しく苦しかったか。
    そんな孫が、帰って来る。合意の上で戻ると言ってくれた。なんとめでたきことだろうか!
    彼の両親に当たる娘夫婦とずっと気に掛けてくれていた執事はそれはもう大喜びで、アイリスも「私だけ仲間外れにさせない!」といつも嫌がる事務仕事を一気に片付けて集まった。ここまで一斉に集合したのはカキツバタが産まれた日以来かもしれない。なにせ一族の集まりでさえ誰かしらが欠けていたのだから。
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