指輪の話十二月二十六日。
雪のちらつく朝。交番の更衣室で、爆解は黙って制服の上着を羽織った。いつも通り、ネクタイを締め、警帽をかぶり、鏡を見て眉をひそめる。
「……」
左手薬指。そこにきらりと光るのは、昨夜、不眠に押しつけられた細い銀の指輪。
「…っぱ、仕事中は外すか」
ちょうど入ってきた後輩巡査が聞きとがめた。
「あれ、爆解さん。指輪、つけてるんすか?」
「っ……は?」
「それ、左手の……っすよね? うわ、まじっすか!? え、え、誰ですかお相手!? 結婚!? 彼女できた!? ちょ、ちょっと署長にも言わなきゃ!」
「おいバカやめろ!!!」
止める暇もなく、更衣室は大騒ぎになった。
で。
* * *
それから数日、交番ではちょっとした「爆解さんの指輪騒動」が話題になった。
本人は「拾っただけだ」とか「なんかの間違いだ」とかごまかしていたが、どこかの若手が「絶対彼氏ですよね!?」と確信しているようだった。
そして、職場の片隅で、不眠だけが、黙ってニヤニヤしている。
──ああ、めんどくせぇ。
でもまあ、悪くねぇか。
そんなふうに、爆解は小さくため息をついた。
ここからはキャラ解釈との戦いで書けなかった
俺は弱い