お題:ポッキー「チキチキ、水篠さんの唇は誰の物!?ポッキーゲーム!」
「諸菱君、煩い」
突然ハンター協会で諸菱は、コンビニ袋からお菓子を取り出した。バァンと効果音がなりそうなポーズで、他のハンター達にそのお菓子を見せつける。
「十一月十一日まで遠いので、突然ですけど水篠さんにはポッキーゲームをやって貰います!」
「…………はぁ」
頬に手を付き、大きなため息をつく。遊びには付き合ってられないと立ち上がろうとすると、他のハンター達が立ち上がる。
「それ、僕も参加できますか?」
「俺も」
参加希望は手を上げ、諸菱からポッキーを一本貰う。ツッコミどころが多いが、ほとんどが顔見知りだ。
「そもそも俺、ポッキーゲーム知らないんだけど」
「え?」
諸菱は持っていた空の箱を落とした。全員目の色が変わり、早速旬の目の前に最上が立つ。
「僕が手取り足取り、じっくりと教えて差し上げますよ」
持っていたポッキーを自身の口で咥え、旬の前に差し出す。周りにいた白川や美濃部からのブーイングが耳に入るが気にしない。
「俺も咥えるんですか?」
「そうですよ」
ちょんっとチョコの部分が旬の唇に乗る。そのまま先を咥え次の指示を待つ。
「そのままゆっくり食べるんです。途中で折った方が負けですよ」
ポリ…ポリ…と最上がポッキーの咀嚼を始めると、旬も続いて咀嚼し始めた。段々と顔が近くなり、そろそろ恥ずかしがって折りそうな距離だが……
「あーっと、最上さんすみませーーん」
わざとらしい声と同時に細い棒でポッキーの中央が折れた。その犯人は美濃部。旬は何事も無かったかの様に折れていない部分を食べ始める。
「そう簡単にゲームは終わらせませんよ」
そう美濃部は暗い笑顔を最上に見せ、持っていたポッキーを、今度は旬に先に咥えさせた。
「俺とも、してくださいよ、水篠さん」
一言一言言い終えるごとに、前に進んでくる美濃部に、思わず旬は口を離しそうになる。しかしそれを美濃部は許してはくれず、背中をガッシリと掴まれる。
カリッ…ポリッ…。
「……っ!」
あと一歩という所で止まり、顔の近さに目を見開いていた。その表情に美濃部はニッコリと笑い。
………ちゅっ
と音を立てて離れる。次の番を待っていた白川が声を上げようと口を開けるも、諸菱によって塞がれた。
「俺の勝ちですかね」
「ずるいぞ、剛」
「僕もしたかったです……ていうかそもそも、アナタが邪魔をしなければ!」
「え?なんの事です?」
触れられた唇を旬は何度も指で触れる。不思議な感覚でぽわぽわとしていると、こそこそと諸菱が旬に近づいてきた。
「僕もしていいですか?水篠さん」
「なに……をっ――――ンッ!?」
結局しっかりと旬の唇を奪っていったのは、我進ギルドの服マスターである諸菱だった―――。