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    セッカさん 健全

    『スーパーセール』セッカさん 『スーパーセール』

    旬はチラシを見ていた。
    S級になってからお金には困らなくなったものの、金銭感覚は正常のままで、どうしても安売りセールというものに魅かれてしまっていた。
    見ているのはいつも買い物にいく近所のスーパーのチラシで、明日の8時からセールが開始されるらしい。
    一人一個までという上限で、何としてでも複数は欲しいと考えていた旬は、ある事を思い出した。

    「……S級の人を呼んでほしい、ですか?」

    「はい…とても…重要な事なんです」

    真剣な顔でS級を呼んでほしいという旬に、後藤はこれは只ならぬ出来事があったに違いないと思い、直ぐに犬飼にS級たちを呼ぶように指示をした。
    何も知らされずに来た五大ギルドマスター達は、旬から呼ばれた事をほんの少し鼻を高くしながら、今か今かとそわそわしている。

    「皆さんに手伝ってほしい事があるんです……急に呼び出してすみません」

    「いいえ、僕は大丈夫ですよ。貴方から助けを求めてくるのはそれなりの理由があるんでしょうし」

    「レッドゲートの件と、カナン島でのお礼がまだ出来ていなかったからな」

    最上と白川がそれぞれの理由で旬に答える。

    「俺は暇なんで来ました」

    素直に暇だと答える美濃部と友谷が風邪を引いてやる事がないから着てみたという黒須。

    「暇人…?」

    「水篠ハンター、それ以上は言わないように」

    これ以上言わせないように旬の口を押え、咳払いをする。
    旬もコクコクと頷き手を離してもらった。

    「俺についてきてもらって、いいですか?」

    「「「「?」」」」








    「さぁやってるよやってるよぉ!今月最後のスーパーセール!一人一個までだよ!安いよ安いよ!」

    そんな掛け声がスーパーマーケットのスピーカーから流れ、ぞくぞくと人が集まり各々が欲しい物を買い物かごに入れていく。なんて言ったって全ての商品が全て半額なのだから…。
    ただし同じ商品は買えず、各一種類ずつ半額である。

    「あの……水篠ハンター…?」

    その光景に冷や汗をかきながら美濃部は旬にこの状況を教えて欲しかった。

    「はい」

    「俺達は、攻略しに…きたんですよね?」

    「そうです」

    「本当にここです?」

    騒然とし、誰一人前に出ずに固まっていた。それもそのはず、皆ダンジョンに向かうのだと勘違いしていたのだから、全員フル装備だった。

    「俺はこっちの棚を買うので、皆さんはあちらの方をお願いしていいですか」

    指した方向を見れば、同じく激戦区。おばさま方がもみくちゃにされながらも手には商品。
    ゴクリと喉を鳴らし、「やるしかねぇ…」と黒須は買い物カゴを持って歩き出し、他の人達もそれを追いかけて激戦区へと向かった…。

    この後後藤と葵に叱られる珍しい旬が見れたとか…。
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