青白い皮膚にへの字に固く引き結ばれた唇。そこから飛び出す言葉はいつも容赦なく辛辣だ。
そして不思議なカーブを描く下がり眉。その下の赤い瞳に睨みつけられたら、確実に周囲の温度が下がるのではないか。
(本当に医者か?本当は殺し屋とかじゃねーの?いや、呪いを行う呪術師とかかも)
キッチンで作業をしながら、敬はカウンター越しにソファの村雨を盗み見る。
この、何にも動じない鋼鉄の男を驚かせることが出来たなら、さぞ痛快だろう、と敬は思う。
これから告げる敬についてのニュースは、村雨を驚かせることができるはずだ。
当事者である敬自身、まだうまく飲み込めてないのだから。
せっかくだから悪戯を仕掛けてみようか。
いささか趣味の悪いことだが、怒ったり動揺したりする村雨の姿を見たい気がする。
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