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    bon_gnki11

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    bon_gnki11

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    アスシン シン視点
    目が覚めると知らないアスランがいる話2
    続きです

    疑問ばかりのもやもやした気持ちのまま1日が始まった

    「シン!おはよう!休暇はどうだった?」
    「ルナ おはよ …休暇?」

    俺は休暇を取っていたのか
    また1つ俺の知らない昨日が出てきた

    「そ!あんたってば恥ずかしがってあんまり教えてくれなかったけど楽しみにしてたものね アスランと一緒に楽しめた?」
    「アスランと 一緒に…?」
    「?1日いろいろと計画してたじゃない 夕食だって前日から準備するって」
    「1日?計画?夕食…ああ あれのことか」
    「??ま 待って どうしたの 楽しくなかったの!?」
    「いや 昨日アスラン帰って来なかったから」
    「ええ!?えっ なっ 何よそれ!!?!?」
    「わっ 吃驚した!」

    ルナは勢いよく立ち上がると椅子がガターン!と音を立てて倒れた

    「帰って来なかったって…あんた達喧嘩でもしたの!?」
    「喧嘩、はしてないんじゃないかな…多分昨日は1日会ってないみたいだったし」
    「なんで他人事なのよ!喧嘩した腹いせに他人ごっこでもしてる訳!?それよりも1日!?昨日何してたの!?」
    「えぇ…」

    何の事だか分からないがルナの白熱ぶりに正直引いてる 昨日の記憶が無いなんて言えないなこれは…
    今の話から昨日の俺はアスランの家で夕食を作ってずっと待っていた という事だよな な、なんかそれって…

    「あのさルナ 変なこと聞くけど…」
    「何!」
    「俺とアスランって… つ 付き合ってんの…?」

    自分でも意味不明なことを言っているのは理解している どう考えてもありえないからだ ああもう 言葉に出しただけで恥ずかしくてたまらない

    「はぁ!?何言ってんのよ!」
    「そ そうだよなー ハハ 何言ってるんだろうな 俺」
    「あんた達結婚してるんだから!そんな訳ないでしょ!」
    「えっ」
    「えっ!?」

    えっ!!?!?
    なんか 今 け 結婚って 信じられない言葉が聞こえたような 冗談きついぞ ルナ

    「ちょ ちょっと シン 本当にどうしたの…?休暇中何かあったの…?」

    あ まずい ルナが本気で困った顔をしてる
    彼女が冗談を言ってないとすぐに悟った
    け 結婚? 俺と アスラン がぁ…?
    だめだ 理解不能 頭がぐらぐらする

    「結婚記念日でアスランと合わせて休暇取るって!」
    「結婚、記念日」
    「ケーキを買いたいから良いお店教えてくれってシンが言ったんじゃない!」
    「え あ あのケーキか」
    「写真送ってくれたの忘れたの!?ほら!」

    ルナの通信端末の画面をこちらに向けられる 日付は昨日で 差出人は間違いなく俺だ
    「Happy Wedding Anniversary」と書かれたホールケーキの写真に『ルナありがとう』とメッセージが添えてあった

    「ね ねえシン、」
    「!あ はは ごめんごめん!冗談だって!
    昨日どうでもいいことでちょっと喧嘩したんだ俺達!ありがとうなルナ!そうだっ俺顔洗って来る!」

    彼女の不安そうな顔に居ても立っても居られず嘘をついてその場から逃げた
    レストルームの洗面台で勢いよく顔に水をかけ頭からも被る どんどん冷えて行く身体 少しは冷静になれただろうか

    ルナと話してはっきりした この世界が夢でも幻でも何でもいいけどこれだけは確信できる
    ここは俺とは違うシン・アスカの世界だ

    「(だって アスランが俺を好きになるなんてありえない)」

    俺がどんなに想っても絶対に振り向いてくれない人
    じくじくと胸が痛い なんて残酷な世界だ

    ---------------------------------------------

    同じ艦内に居てもアスランと会うことはなく1日の業務を終える 時折ルナが心配そうにしていたが俺は無理矢理貼り付けた笑顔で何も知らないふりをした

    夜 ミレニアムの甲板で独り海を眺める

    「はぁーあ…何してるんだろ 俺…」

    手すりにもたれ掛かりながら通信端末をあてもなくスクロールした

    「昨日の俺 ずっと楽しみにしてたんだな…」

    あれから昨日の自分を探った
    水族館のオンラインチケット、ホテルのランチビュッフェの予約完了メール、他にもコーヒーショップだとか2人で見に行こうとしていたのかインテリアショップのソファーにブックマークされてたりと色々とプランを考えていたようだ
    結局 水族館のチケットは使われなかったようだし、ランチビュッフェもキャンセルした形跡があった
    夕食は前日から準備したようでアスランの好物を大量に作ったんだろう ルナから教えてもらった店でアニバーサリーケーキまで予約して

    本当なら1日一緒に過ごすはずだったのにアスランは急な仕事でダメになり、夕食には帰ると言う彼を待っていたが結局帰ってきたのは日付が変わった頃だった 俺はどんどん冷めていく料理をみながらあの広い家で独り待っていたんだ
    ぐちゃぐちゃのケーキも 腹いせに泣きながら食べたんだろう

    「随分と健気なやつ…」

    怒って 泣いて 寂しくて 忘れてしまいたかったんだろうか
    だから今 俺がここにいるんだろうか

    「…シン!」
    「!………アスラン」

    甲板に現れた この世界の俺が好きな人

    「部屋にもいないから 探したぞ」
    「…そーですか それはすみませんね」
    「なぁシン やはりちゃんと謝りたい」
    「………何ですか それ」
    「…え?」
    「……っ!仕事なんだからしょうがないだろって言えばいいだろ!そんな事でいじけるなって!そんな事で泣くな馬鹿野郎って!」

    俺が知ってるアスランは きっとそう言うんだ
    押さえつけてしまえば俺もきっと諦める

    「言わないさ…お前が楽しみにしていたのを知ってるんだから」

    手を取って握らされたのはあのシルバーのネックレス あの時は気にも留めなかったが、これは結婚指輪だ

    「何があってもこれを外さなかったのに 今朝外したと気付いた時は心臓が止まりそうになったよ… 終わりなんて言わないでくれ 頼むから、遠くに行くな…」
    「っ…うっ うぅぅ〜…!」
    「わっ 泣くなシン!いや すまない 俺が悪いな」

    違う 嬉しくて泣いてる訳でも悲しくて泣いてる訳でもない
    この世界の俺は アスランにとても愛されているらしい

    でもその俺は 今の俺じゃない

    「(羨ましいよ)」

    アスランに愛されている俺が
    今の俺にはどうしたって手に入らないから

    「来週のお前が非番の日 俺も休暇を取った 埋め合わせをしよう」
    「(じゃあ今の俺ができる事は…)」
    「来週はミレニアムもオーブに行くだろ?オーブならお前も… シン?」
    「うっ…ぐすっ オーブのぉ…」
    「え?」
    「ぅ…オーブの…1番良いホテルのランチと…部屋とぉ……1番美味いケーキ屋のフルーツケーキ…!」
    「あ ああ スイートルームを予約しよう ケーキも1番良い物を用意する」
    「ひぐっ オーブ港近くのデカい水族館…あとマグロの解体ショーみて寿司食いたいっ…」
    「……マグロノカイタイショー…?よく分からないが分かった 水族館もな」
    「っ全部 全部ですよ!じゃないと嫌ですからね!」
    「ああ お前が欲しいもの 全部あげるよ」

    俺が 欲しいもの そんなの

    「アスラン」
    「ん?」
    「(…伝わらない か)」

    フ と笑いが溢れた
    これでいい この世界の俺にバトンを渡せたはずだ

    「家に帰ったら料理全部食べて下さい ケーキも 一緒に食べて下さい」
    「約束する …っと もう遅いから部屋に戻ろう」
    「はい… あの アスラン」
    「なんだ?」
    「その おやすみ、なさい」

    ---------------------------------------------

    「おはよう シン」
    「……はよーございまーす」

    目が覚めると知っている部屋のベッドだった
    感覚的にわかる いつもの俺の世界だ

    いつも通り自室で着替えミーティングに向かおうと艦内を歩いているとアスランと出くわした
    この人は俺が知っているアスラン この世界の俺が好きな人

    「寝癖」
    「あー 直しますって」
    「シン お前また食堂にタブレット置き忘れてたぞ ほら」
    「え!あっ そういえば…ありがとーございます」
    「全く…そのひどい報告書もどうにかしろ 添削しておいたからやり直せ」
    「えっ見たんですか!?しかも勝手に!」
    「また食事をしながら報告書打ってたな 食べるか打ち込むかどちらかにしろといつも言ってるだろ」
    「あーもー 小言はいいですってば!」

    いつも以上にいつも通りのアスランだ

    「あとこれもだ」
    「ぅえ?」

    なんだ? 何か 首に

    「俺の部屋で過ごすといつも忘れていくなお前は シンが指に着けるのは恥ずかしいと言うからこうしたんだぞ」
    「え これ えっ?」
    「頼むから肌身離さず着けていてくれ」

    アスランの左手薬指に光る指輪
    それと揃いの チェーンに通された指輪は 違う世界の俺が受け取ったもので

    「……………え?」

    アスランは嬉しそうに笑っている




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