美しい死にいさんはえいきゅうにずっとそのままなのでしょうね。
何者でもない、人間ですらない生き物を、焦点も合わせず見下ろす弟の、憎らしさといったらなかった。頭の中の俺は火の玉のような怒りそのままに立ち上がり、目の前の糞生意気な餓鬼の胸倉をむしり取るように掴み、その膨よかで清らかな頬を思いきり張ったのに、実際の俺ときたら、自分の下唇をぶつと醜く噛み切っただけだった。あまりの憤りに後頭部と足先から炎のような痺れがザアと走り、混ざり合った中心で真っ赤な塊になった。
殺したい、殺したい、殺してやりたい。こいつを、こいつを今すぐここで、俺の手で、俺のこの手で、殺してやりたい! 誰か殺してくれ! こいつの躰を殺してくれ! 身の内を壊してくれ! 誰か! 誰か、嗚呼誰かアッ………‼︎
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