タケ・プラムパインは自由な男だった。風のように流れ、嵐のように暴れ、波のように打ちつけては引いていく。そして炎のように、一人の男を愛していた。
「タケぇ」
どろりと欲にまみれた半分の声が耳を擽り、タケは柔らかく甘く芳しい女のそれとは違う筋張った首筋に顔を埋めた。お世辞でも抱いても心地よいとはいえない、自分と同程度、或いはそれよりも逞しい男に欲情を抱くなどと、と思わず口元が緩む。
「どうしたぁ?」
興奮で荒ぶったものとは違う吐息が首筋を撫ぜ、半分はするりとタケの鼻先に頬を滑らせた。
「なんでもね~」
いつもはひんやりと冷たい爬虫類のような肌がじっとりと汗で濡れて熱く火照っている。それに興奮を覚えたタケは半分の問いを遇いながら脇の大きな隙間から服の中に手を忍び込ませた。いなされた半分はむ、と口を引き結び脇を絞めてタケの手を封じる。
「……なにすんだよぉ」
「余計なこと考えてんじゃねぇ」
地位、金、名声、女、あらゆる欲望を存分に得られる立場にありながら、半分は何にも執着を示さない。そんな男がたった一瞬思考を逸らすのすら許さないことに、タケのうなじはぞくりと栗立つ。
「考えてねぇよ、半分、お前だけだって」
頬、瞼、こめかみ、顔中にキスの雨を降らせながらご機嫌を取る。ティーンのカップルが交わすような浮き足だった愛の言葉、それでも半分にとっては満足のいくものでそっと脇を緩めて目を瞑った。
「……ん」
自分の荒れてささむけの残る唇とは違った柔らかいそれの感触を楽しみながら、解放された手で半分の上半身をまさぐる。ぺたぺたと鍛えあげられた腹筋を触っていると「ちげぇだろ」と吐息混じりの低い声ささめいた。
「もっとエロく、触れよ」
そう言いながら、まるで手本を示すようにタケの脇腹を半分の白くしなかやな指がなぞりあげた。
「せめーって、ここじゃ」
うなじが逆立つのを感じ、性急さに押し流されそうになるのを堪えながら二人で腰掛けるのが精一杯のソファーをチラリと見ながら半分を抱き上げようと腰に手を回す。
「いいだろ別に」
抗議を受け流しながら半分はタケに覆い被さって、一つの影はソファーに沈みそれきり浮上してこなかった。