ラムネ夏休みの暑い日。
部活は終わったが、あまりの暑さと疲れでカラムは珍しく他の部員たちと共に練習場の床に転がってはいた。けたたましい蝉の声に夏を感じ、汗が身体中から噴き出す。全開に開かれた扉と窓から入って来る生暖かな風でも汗を冷やして気持ちいい。目を閉じたら眠ってしまいそうだ。
彼らが通うのは幼稚園から大学まである王立学園、貴族であるカラムも当然のように幼稚園から社交科に入れられた。だが中学になり彼はとうとう親に反発し、大胆にも中学1年生の約2ヶ月目、今から約2ヶ月前に騎士科騎士部へ編入したのだ。同じ学園内とはいえ、変な時期に編入すればその場に溶け込めない可能性もあった。それでもカラムは騎士への羨望を止められず兄に背を押され突き進んだ。結果この2ヶ月、彼は騎士になるべく志し共にする仲間達に囲まれ充実した毎日を送れている。たが騎士科に来て間もない上、まだ周りと比べても身体の小さなカラムには鍛錬は体力的に厳しかった。
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