百合が咲く頃、僕らは序章
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皿に、パンケーキが乗っている。
それを飾るさくらんぼは宝石のようにキラキラしていて、ホイップクリームは雪のように真っ白でふわりとしていた。
ほどよく焼けた黄色にさくりとフォークを刺し、ナイフを通すとスポンジがやわらかく押し返す。
ふわふわのスポンジを口に入れると、すぐさまやさしくて甘い食感が口内を満たす。
おいしいね、と二人は笑い合った。
晴れた日のもと、御屋敷の庭で二人はティータイムをしていた。
一人のパンケーキにはたくさんのクリームが飾り付けられ、もう一人のパンケーキにはクリームは少ないが、代わりにプリンが乗せられている。
本来関わるはずのない悪魔と天使。
だが、二人は何時も一緒にいた。
「あしたも一緒に遊ぼうね」
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