それはきっと恋「菓彩。」
少し前を歩く、見慣れた後ろ姿に声をかける。
名前を呼ばれて振り向いた彼女は怪訝そうな顔をした。
「品田か。どうした?何か用か?」
不仲ではない。かと言って特別仲が良いわけでもないただの同級生のひとり。菓彩と俺の関係性は、端的に言うと微妙なものだ。幼なじみのゆいと彼女が共にプリキュアとして闘ったり、俺自身もブラックペッパーとして彼女たちと共闘したり。あの1年を通して以前よりは親しくなったと思っているが、例の件が解決してからは必要性が減ったこともあり、学校で話しかける機会も少なくなっていた。
ましてや、高校に進学してからは尚更。なんだかんだ同じ地元の高校に進学したが、学校内で特段仲良くすることもなく、たまに学校の廊下や通学路で見かける程度だった。そもそも俺が菓彩に少し苦手意識を抱いていることは一旦ここでは置いておこう。
1960