フォロの商人 後編9_________________________
「……お礼がしたいんだ」
王都楼の事件が解決した翌日、上級検事執務室・1202号を訪ねたぼくは御剣に掛け合った。
「って、真宵ちゃんが言ってたぞ。」
「……そうか。気にすることはない、と伝えておいてくれ。」
そういうと、デスクに座る御剣は見ていた資料に向き直った。
「イヤだよ、めんどくさい。自分で言ってくれ。」
(そうカンタンに諦めなさそうだし。)
ぼくは紙の資料となにやら格闘している御剣をじっと見守る。
「……他に用がないのなら、出ていきたまえ。わたしは忙しいのだ。」
ワザらしく忙しなく動く御剣に、ぼくはずっと抱いていた疑問をぶつける。
「用ならあるよ。……なんで、なにも言わずに1年も姿を消したんだ。」
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