「サクラガイ」 (桐生side)
俺はあれから、沖縄に行くなり孤児院を開いて、子供たちとのんびり暮らしていた。 でも、孤児院―子供たちを見る度、自分がヒマワリにいた頃のことを思い出す。
「おい、桐生、あっちでイイもん見つけたんだ!ついてこいよ!」
「待てよ錦!」
錦はあの日、海で、桜貝というものを見つけて来た。
その貝というのは、綺麗な淡いピンク色で、少し強く握っただけでも「パキッ」とわれてしまいそうな、そんな儚いものだった。
「これはなぁ、桜貝って言うんだぜ!風間のおやっさんがこの前教えてくれたんだ。」
「…キレイだなぁ。この貝は珍しいものなのか?」
「いやぁ、残念だがそう珍しくはないらしい。でもよ、『幸せを呼ぶ貝』なんだって!お前に見してやりたくてさ。」
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