"I hate you."『キミのことなんて嫌いだよ!』
頭上から影を落とすソイツは、声高らかに叫んだ。
忌々しく思いつつも、俺は上に目をやる。
「……なんだ」
『聞こえなかった?それともキミの頭じゃ、ちゃんと理解できなかった?いいよ、もっとはっきり言ってあげようか。僕は、キミの、キミというその存在そのものが、嫌いだ。』
嘲笑を含んだような口ぶりと、わざとらしい大袈裟な手振り。……どこまでも俺のことを苛立たせたいらしい。
「嫌いなら嫌いで結構だ。好きでいられたところで迷惑極まりない。不愉快だ。そこまで言うなら失せてくれ。」
自身の口元から薄黒い煙がくゆる。タバコの煙でも浴びせるかのように、俺はそれをソイツの顔目掛けて吹きやった。一瞬驚いたような顔をしていたが、すぐにまた薄笑いを浮かべくるりと宙返りをして黒煙から離れる。
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