その衝撃を何と呼ぶ「お前がルド・ホーカーか!」
男が叫ぶ。広場に集う人々が一人残らず振り返るほどの声量で。
「…………ハイ?」
もう一人の男が応える。怯えた子猫の鳴き声のような声量で。
ユーク・ガルニエ。その名と容姿を砂都の民に言えば、ある者は「知らない」と忙しい日常に戻るべく素っ気なく応え、また別の誰かは「ちっ、あいつか……」と忌々しそうに顔を歪める。
毛先がカスタード色に染まる白金の髪に褐色の肌。いきり立った眉の下には青い鉱石を思わせるような煌めきを放つ柔く垂れた瞳。雑踏の中でも一際目立つ長身のエレゼン。容姿だけを見ればどこぞの物語の貴族かと思うような人物だが、その中身は凶暴という二文字で埋め尽くされている。
ユークは孤児だった。記憶は定かではないが、十歳の頃にはウルダハの裏路地で生を繋いでいた。身の上を証明するものはなく、持っていたのが少しの金銭と、少し深みの強い蒼い宝石がついたピアスのみ。親は、家族はどうしたと人が聞くと、
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