戦前の話。
校門の近くに奉安殿がある。そこには天皇と皇后の写真があり、最敬礼をしてから校舎に入るのが決まりだったらしい。
天長節の日には、学校では教室の間仕切りを外し、教室二部屋を大きな一部屋にして、机や椅子を端に寄せ、全校児童がその部屋に入る。そこで式を挙げる。
服装は、さっぱりした綺麗な服を着てくるように教師から言われていたらしい。
校長と教頭が、奉安殿から天皇と皇后の写真を式場に持ってきて、掲げる。
式の間は児童は起立して、直立不動の「気をつけ」の姿勢。
式では唱歌「紀元節」を歌う。
「雲に聳ゆる 高千穂の…」と歌う。
次に校長の話。
その日は授業は無く、式だけ挙げて帰る。
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