無題「働かざる者食うべからずってことだろ。この施設だって、僕たちが何も利益を生み出さないのに世話をみる義理はない」
「…メロは大人だなぁ…」
どうも、歌が苦手だ。歌う行為全般ではなく、下手に音感があるせいで、両隣の音階が少しでもズレると気持ち悪いし、かと言って自分の音を彼等に合わせるように修正する術は持ち合わせていなかった。白いヒラヒラした衣装も、ニアやメロみたいな銀や金なら似合うのに、自分の赤毛が妙に浮いてしまう気がするし、何よりも子供達を品定めするかのような一部の大人たちの視線に気づいてから、より拍車をかけて苦手になってしまった。声変わりするまでの我慢だと思って、最近は授業をサボることで折り合いをつけていたというのに。
527