「ひょっとしてーーじゃないか!?」
「おっと」
すぐ後ろでバルバトスの驚いた声がした。なんだろう、と足を止めて振り向くとそこにいたのは知らないおじいさんと、そのおじいさんに肩を捕まれてつんのめったらしいバルバトス。ちょっと困った様子に、時々あるやつかな、と推測する。
王都には今も辺境からの避難民が絶えない。時々、昔バルバトスに会ったことがある、という者がいる。話を聞くと十年以上前に会ったというのが殆どだ。長い時間が経ってもまったく変わらないバルバトスに驚いて声をかけるのだという。
バルバトスが今の姿のまま長く生きているということは王都ではすっかり有名な話だ。しかし辺境からやってきた人にとってはそうではない。
1615