とある同室の朝支度 まだ朝の早い時間、澄んだ空気が部屋に広がる中、一人の教師は目を覚ました。初夏の光が障子を通して入ってくる。その光を目を細めて見つめ、存分に楽しんだ後同室を起こした。互いに「おはよう」と言い、それぞれの準備に取り掛かる。
彼女は布団を片付けながら、早起きしたためか出てくるあくびを噛み殺した後、最近の憂鬱な出来事にため息をついた。
「はあぁ〜…」
「どうしたんだい。そんな深いため息なんてついちって。」
白郡は顔に化粧水を叩き込みながら、同僚兼同室の朔に尋ねた。まぁ、聞かなくても大体は想像がつくが。と毒吐きながら。
大方、今学園で持ちきりになっているとある噂だろう。三年の富松作兵衛が実習に失敗した。平素なら補習をして、次頑張りましょー。で終わるはずだが、今回は場合が場合なために先生方や三年生、果てには上級生までもが事後処理に追われているらしい。トドメには、彼の直属の先輩である食満は富松にべったりくっつき、世話をしているとか。
5917