影山VS詐欺師 30年勤めた会社をリストラした。競馬につぎ込んだ退職金は借金に変わり、嫁と子供には出ていかれ、俺にはもう何もない。ポジティブに考えれば、失うものもない。
そんな無敵状態の俺は、詐欺師として生活することに決めた。成功すれば人生一発逆転だ!
今日は言わばデビュー戦。とりあえず気が弱そうな老人の跡をつけて、セキュリティの許そうなマンションに入った。
さっきの老人が入って行ったのは…確かここだ。
ピンポーン!
思い切ってチャイムを鳴らし、スーツの襟を整える。しばらく待つと、「はい」という返事と同時にドアが開いた。
「こんにちは!△△銀行の者です。今お時間よろしいですか?」
しかし出てきたのは黒髪で背の高い青年だった。
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