世界で一番透明なガラスの向こうに生きる君へ見るだけ夢は無料(ただ)なのだからと、その夢を抱いて、当然のように叶えるつもりで歩いた。これに関しては、悲しいことに大勢の人にとって大抵が気のせいだ。いつだって、夢という無敵の言葉は破れるためにある。少なくとも、力を尽くした先で何者にもなれなかった人達には。
いつしかその傷が懐かしい思い出になって、そのことにほんの少し戸惑って、それでもいたって普通に、生きている。
世界で一番透明なガラスの向こうに生きる君へ
十八の誕生日も過ぎてしばらく、ホップがソニアから手渡されたのは、一つの冊子だった。表紙には、カントー語で『タマムシ大学』とある。ちゃちであからさまな色遣いに思えるが、もしかしてこの色、タマムシ色だとでも言いたいのだろうか。首をひねりながら、タマムシといえば、とホップは本で読んだことを想起していた。
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